「決算発表と株式評価って関係がある?」
このような疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、企業の決算は企業の株式評価と密接に関係しています。
決算発表後に株式価格が大きく変動することもよくあることです。
もしあなたが株式投資をはじめようとしている、もしくは始めているという場合は、決算発表に合わせて株価がどのように連動するのか理解しているとことで決算の味方が変わってくるかもしれません。
今回は決算と株式の関係について解説していきます。
【目次】
企業の決算発表
企業の決算期の時期は、企業が独自で決めることが出来ます。
多くの企業は3月末が決算期で、4月1日からまた一年が始まるように設定していますが、決算期が5月であっても8月であっても問題はありません。
ただし、決算発表の時期は“決算期から45日以内”と決まっていますので、その期限は守る必要があります。
尚、上場企業に関しては、四半期ごとに決算を出すことが義務付けられていることから、1年に4回決算を公表しなければなりません。
具体的な事例として、3月末日を本決算としている東京ガスを参考にしてみましょう。
東京ガスは以下のようなスケジュールで決算発表を行っています。
【東京ガス決算発表】
決算 | 決算発表 | 四半期 |
---|---|---|
6月 | 7月27日 | 第1四半期(4月~6月) |
9月 | 10月31日 | 第2四半期(7月~9月) |
12月 | 1月31日 | 第3四半期(10月~12月) |
3月(本決算) | 翌4月26日 | 第4四半期(1月~3月) |
一般的に本決算に当たる第4四半期の実績が重要になりますが、上場企業の場合は第1四半期~第3四半期決算も重要になります。
株式への影響を気にしているのであれば、本決算の日程を把握することと、四半期ごとの決算についても注視する必要があります。
決算発表で株式評価に影響するポイント
決算発表で株式評価に影響を及ぼすポイントが3つあります。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
それぞれについて確認していきましょう。
貸借対照表
貸借対照表とは、企業の「資産」「負債」「資本」をまとめた資料になっています。
貸借対照表は、表の左側(貸方)に資産の部が来て、右側(借方)に負債の部と資本の部が来ます。
資産の合計額と負債・資本の合計額が必ず一致することから貸借(左右)対照表と呼ばれています。
貸借対照表では以下の3つの点について注目してみましょう。
<自己資本比率>
○自己資本÷総資本
・企業の安定性を示す指標。自己資本比率は高い方が優良とされている
<流動比率>
○流動資産÷流動負債
・短期的な安定性を示す指標。流動比率は高い方が優良とされている。おおよそ200%を超えることが望ましい。
<固定比率>
○固定資産÷固定負債
・長期的な安定性を示す指標。固定比率は低い方が優良とされている。
※固定比率が100%を超えると、借金をして固定資産を賄っていることとなるため。
損益計算書
損益計算書は、企業の売上、経費、利益が記載されている資料になります。
先ほど紹介した貸借対照表は企業の財務状況が分かる資料ですが、損益計算書はその決算年1年間の利益や儲けが分かる資料となっています。
損益計算書では以下の3つの点に注目してみましょう。
<営業利益率>
○営業利益÷売上高
・本業で儲ける強さを示す指標
<ROA>
○当期純利益÷総資産
・資産を効率よく利用で来たかを示す指標
<ROE>
○当期純利益÷株式資本
・資本を効率良く利用で来たかを示す指標
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は現金の流れが記載されている資料です。
企業の資金繰りは、売上がたった時と実際に現金を受け取るまでの時間では差が生じる場合が多いです。
例えば現金で仕入したものを売った際に、代金を手形で受け取った場合、販売代金を受け取れるのは手形の期日が到来した時になります。
このケースでは、現金化が3か月近くずれることもありますが、貸借対照表や損益計算書では現金の動きを記載出来ないので実際の資金繰りまで把握することが出来ません。
そこでキャッシュフロー計算書によって資金繰りが安定しているのかを確認する必要があります。
企業が倒産するのは赤字だからではなく、現金が無くなるからです。この認識があればキャッシュフロー計算書がどれだけ大切か分かります。
決算発表と株式の変動
決算発表後に株式が大きく変動することがあります。
株式は決算内容が期待以上だった場合と、期待以下だった場合で動き方が変わります。
例えば、決算が期待を大きく上回った場合は、株価が大きい上昇する傾向がありますし、決算が期待以下だった場合は株価が下落する傾向があります。
ここで注意が必要なのは、赤字だから株式評価が下がる訳ではないという事です。
なぜなら、市場が既に営業利益や当期利益が減少することを織り込んでいるのならば、事前に株式は下がっているからです。
つまり、決算発表に伴う株式評価の変動は、市場の期待を超えるか下回るかという点にのみ動くという事です。
単純に決算内容が良い・悪いでは判断が出来ないという点を理解する必要があります。
まとめ
- 上場企業は3ヵ月毎に決算発表を行う
- 決算発表は株式評価に影響を与える
- 決算発表が市場の期待を超えるかどうかで株式評価は変わる
決算発表により株式評価は大きく変動する可能性があります。
しかし、株価は常に市場で価格が変動していますので、決算発表では市場の期待を上回るかどうかが重要なポイントになってきます。
決算内容と株価の動きに注目することで、市場の期待がどの程度のものか分かります。
一度決算発表の日に値動きを注目してみるのも面白いかもしれません。