税務知識記事一覧

顧問税理士変更のタイミングや事前準備、伝え方について

顧問税理士変更のタイミングや事前準備、伝え方について

「現行の税理士を変更したい」
「税理士を変更するタイミングや事前準備について知りたい」

このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。

結論から言いますと、現行の顧問税理士を変更するのは簡単ではありません。

タイミングや事前準備、伝え方に至るまでしっかり対策する必要があります。

今回は顧問税理士変更について詳しく解説していきます。

顧問税理士変更のタイミング

顧問税理士を変更したい場合には最適なタイミングがあります。

  • 法人税申告書を提出した直後
  • 税務調査で修正申告が完了した直後

それぞれのタイミングが適切なのには理由がありますので確認していきましょう。

法人税申告書を提出した直後

法人税申告書を提出するタイミングは、決算期末から数えて2ヵ月後の末日です。

万が一申告期限を延長していたとしても3ヵ月以内には提出する必要があります。

その直後に顧問税理士を変更するのがタイミング的には適しています。

その理由としては以下の点が挙げられます。

  • 申告書を提出して1年間の業務に区切りがつく
  • 次の税理士への引継ぎがスムーズ

法人税申告書の提出を前に顧問税理士を変えてしまうと、帳簿の確認を最初からやり直す必要がありますし、顧問税理士の決算方法によっては計上する数字に変化が出る可能性があります。

基本的には全ての業務が終わる決算書の提出を持って変更すると、次の税理士は一から対応することが出来るので、前期分について確認する手間が省けるなどのメリットがあります。

今すぐに税理士を変える必要は無くとも、事業拡大によってもっと大きな税理士事務所に変えたい場合等はこちらのタイミングで変更するようにしましょう。

税務調査で修正申告が完了した直後

税務調査では直近の決算から過去3年分を遡って行われますが、一度調査が行われた年度に関しては再度調査されることは原則ありません。

つまり、税務調査の後に税理士を変更することで、もし次回税務調査に入られた場合でも、以前の税理士に内容を確認する必要が無くなります。

このタイミングでの変更は、どちらかと言えば、現行の税理士が信用できないような場合に検討するのが良いでしょう。

税理士との相性ももちろんありますし、人間的に不信感があるというケースでは、決算報告提出を待たずに、税務調査後の修正申告完了後に変更を申し出るのも手段の一つです。

顧問税理士変更の事前準備

顧問税理士を変更することによって以下のような不利益を被る可能性があります。

  • 過去の決算書がもらえない
  • 過去の会計帳簿がもらえない
  • 過去の決算内訳書のその他がもらえない
  • 過去の税務署への届出内容が開示されない
  • 過去の株主総会や取締役会の議事録が開示されない
  • e-taxのログイン情報が分からない

以上のように税理士に会計や決算処理を全部任せている会社程、不利益を被る可能性があります。

万が一このような事象が起こった場合は、新しい顧問税理士の業務に支障をきたす可能性が高いため注意が必要です。

対策としては、変更を申し出る前に以上のような情報について事前に確認しておくことでしょう。

データが現行の顧問税理士しか持っていないという場合は、税理士と相談しながら回収を進める必要があります。

完全に情報が揃うまでに、長ければ1年程度かかる可能性があります。

地道に対応していくことが大切です。

尚、原則経営者自らある程度決算や経理について興味を持つようにした方が良いでしょう。

税理士に任せっきりというのは手間が省ける反面リスクもあります。

最低限の主体性と情報管理は必要になるという事です。

顧問税理士を変更する理由

顧問税理士の変更を申し出る際の理由として多いのは「親戚の子が税理士になった」という理由です。

その他にも

  • 知り合いが税理士事務所を立ち上げた
  • 取引先の事業者から斡旋されて断れない

等、現行の税理士に角が立たないように伝えることも大切です。

ただし、これらは常套句として語り継がれていることですので、税理士側もある程度察します。

また反論しがたい断り文句ですのでスムーズに変更が出来ます。

まとめ

  • 顧問税理士変更のタイミングは「法人税申告書」の提出後か、税務調査による修正申告の提出後
  • 顧問税理士変更には現在までの決算内容を経営者が把握しておく必要がある。情報がない場合は事前に回収をしておく
  • 顧問税理士変更に際しては親戚の子が税理士になった等定番の文句を使うと良い

税理士と言えど人ですので、経営者と人間性が合わないことは十分に考えられます。

税理士を変更したいと感じたら、最終的に変更するかどうかは今決めなくても、手元にない情報は回収しておくようにしましょう。

また、税理士変更のタイミングも重要になるので、変更を考えているのであれば、来るタイミングを見て申し出をするようにしましょう。

変更の申し出をする前に、次に依頼しようとしている税理士と事前に相談しておくことも大切です。

インボイス制度関連記事

  1. 働き方が多様になりましたフリーランスと今後の税務
  2. 保険代理店や保険外交員とインボイス制度
  3. BtoBでの免税事業者の消費税転嫁は保護されるのか
  4. 免税事業者が課税事業者となる訳
  5. 法人設立期間中の損益 ~帰属先・注意点など~
注目記事 最新記事
  1. 2割特例の適用に「不適用届出書」提出が必要な場合がある
  2. 決算において減価償却しないことは認められている?
  3. 通勤手当を廃止して実費精算にした場合の給与計算
  4. 大企業向け賃上げ促進税制のマルチステークホルダー経営宣言とは
  5. 別表六(三十一)の誤記載に注意喚起
  1. 「休職制度」の必要性
  2. 中小企業の6割は防衛的賃上げ
  3. 中間申告の義務規定と中間申告無申告容認規定
  4. 相続登記は3年以内に!
  5. ダイレクト納付の新しい手続き「自動ダイレクト」4月開始

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP