「会社が廃業や清算する場合どのような手続きが必要?」
「会社の解散の流れについて知りたい!」
このような疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、会社を廃業・清算するには11の手続きを経る必要があります。
もし会社の廃業を検討している人がいれば、しっかりと流れについて押さえておくようにしましょう。
【目次】
会社が廃業・精算・解散する理由
まずは会社を廃業・精算する理由について説明していきます。
- 定款で定めた存続期間が満了する
- 定款で定めた解散事由の発生
- 株式総会の決議
- 合併により会社が消滅する場合
- 破産手続き開始の決定
- 裁判所による解散命令
- 休眠会社のみなし解散
一般的に会社が廃業や解散するのは、以上に該当する場合です。
債務超過で支払いができず破産する場合以外にも、様々な理由で会社が精算されているのが分かります。
なお、休眠会社とは最後の登記から12年を経過している「株式会社」のことを指しています。
12年間登記手続きを行っていない株式会社は、法律によって事業活動を行っていない会社と判断され、法務局から送られる通知文書に対して期限内に「事業を停止してない」旨の届け出をしなければ会社が解散したものと見なされます。これをみなし解散といいます。
みなし解散となれば、みなし解散登記が法務局の登記官によりなされますが、みなし解散登記から3年以内に会社継続手続きをすることで、元の状態に戻すことができます。
株式会社を運営している人は特に注意する必要があります。
会社を廃業・精算する流れ
会社を廃業・精算するためには以下のような流れで進んでいきます。
株式総会決議による会社の解散を例に説明します。
- 株主総会の特別決議
- 解散・清算人選任登記
- 各種機関への解散の届出
- 財産目録・貸借対照表の作成
- 債権者保護手続き
- 解散確定申告書を提出
- 残余財産確定、分配
- 精算確定申告書を提出
- 決算報告書の作成・承認
- 決算結了登記
- 税務署等への決算結了の届出
それぞれについて解説していきます。
株主総会の特別決議
株主総会の特別決議とは、発行済株主総額の過半数の株主を保有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数を持って行う決議のことです。
株主総会の特別決議を持って、解散及び清算人の選任を行います。
多くの場合、清算人は代表取締役が選任されることが多いです。
解散・清算人選任登記
解散の日から2週間以内に法務局で「解散と清算人選任」の登記申請を行います。解散登記に3万円と、清算人選任登記に9,000円に登録免許税がかかります。
各種機関への解散の届出
会社解散登記が完了したら、関係機関へ解散の届出を行います。
届け出には
- 異動届出書:それぞれの機関のホームページからダウンロードもしくは窓口にて交付
- 登記事項証明書:法務局で交付
が必要になりますので、事前に準備しておきましょう。
〈解散の届出先〉
- 市町村役場
- 都道府県税事務所
- 社会保険事務所
- 労働基準監督署
- 社会保険事務所 などの公的機関
財産目録・貸借対照表の作成
精算人は遅滞なく会社の財産を調査、把握し、財産目録と貸借対照表を作成する必要があります。
作成した後、株主総会の承認を得てから会社に保管することとなります。
債権者保護手続き
会社の精算手続き開始を債権者に知らせ、「官報広告」と会社が認識している債権者に対して個別の催告手続を行います。
これらの手続きを債権者保護手続きと言います。
解散確定申告書を提出
解散日から2ヶ月以内に、決算期首から解散日までの確定申告を税務署に行います。
残余財産確定、分配
売掛金等の会社の債権を回収し、買掛金、借入金等の負債と相殺します。相殺しても資産が余った場合は、債権者に分配します。
精算確定申告書を提出
精算確定申告を税務署に届出し、所得がある場合は所得税を納付します。
決算報告書の作成・承認
精算事務が終了すると、清算人は遅滞なく会社の決算報告書を作成し、株主総会の承認を得た上で精算事務報告の承認を受けます。
ここではじめて会社の法人格が消滅することとなります。
決算結了登記
精算事務報告の承認を受けたら法務局へ精算結了の登記申請を行います。この登記申請は2週間以内に行う必要があります。
尚、精算結了には以下の書類が必要となります。
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 登録免許税(2,000円)
務署等への清算結了の届出
清算結了登記が終わった後、税務署へ清算結了の届出を行います。
また税務署の他にも
- 都道府県税事務所
- 市町村役場
などにも届出を行い、会社精算手続きが全て終了することとなります。
まとめ
- 会社が解散する理由は7つある
- 会社が清算するためには税務署や都道府県庁への届出が必要になる
会社の廃業・清算手続きは11の手続きを経る必要があり自分一人で全て行うのは難しいです。
会社を営業していた時の税理士に手続きをサポートしてもらうのも手段の一つでしょう。
税務申告等に関しても税理士であれば代理で申請してくれます。
まずは流れをしっかり理解して、関係各所と連携を取りながら間違いのない清算手続きをすることが大切です。