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M&Aを行う目的は何?買手売手双方の視点から解説

M&Aを行う目的は何?買手売手双方の視点から解説

「M&Aを行う目的が分からない」

このような疑問を抱えている人は少なくありません。

結論から言いますと、M&Aを行う目的は1つではなく、「経営拡大」や「事業承継」など様々な目的を持ってM&Aという手段を選択している人が多いです。

今回はM&Aを行う目的を、買手売手双方の視点から解説していきます。

【目次】

M&Aを行う目的とは?

M&A(企業買収)を行う理由はいくつかありますが、もちろん買手売手双方にメリットがあることが前提にあります。

それぞれにM&Aを行う目的がありますが、どのようなケースに該当すればM&Aを行うメリットがあるのかを把握しておくことで、自分の経営している企業が経営の手段としてM&Aを行うべきか判断することが出来ます。

ここからは買手企業、売手企業それぞれの視点からM&Aを行う目的について解説していきます。

M&Aの目的(買手企業)

買手企業がM&Aを行う目的は以下のようなものです。

  • 急激な事業成長が可能
  • シナジー効果が期待できる
  • 新規事業の開拓につながる
  • スケールメリットにつながる

それぞれについて解説していきます。

急激な事業成長が可能

自社で既存事業や新規事業を成長させるには相応の時間を要します、元から成熟した事業基盤を持っている企業を買収することで、企業成長に掛かる時間を大幅に削減することが可能です。

シナジー効果が期待できる

M&Aを行うことで、既存事業とM&A事業のシナジー効果が期待できます。

例えば、既存事業のSWOTで強みと弱みを分析した時に、既存事業の強みを最大化し、弱みを補える事業を買収することで、自社だけでは不足している技術や能力、人材や市場を吸収でき、かつスピーディに補完することが出来ます。

例えば

  • 運送会社+IT企業

⇒物流とITを掛け合わせたサービス展開、業務効率化を図る

  • 燃料小売+燃料小売

⇒地域での営業権を購入することで、事業規模の拡大を図る

等、様々なケースで可能性を見出すことが出来ます。

新規事業の開拓につながる

近年の情報革命により、産業の成長スピードも格段に速くなったことで、新しい事業を一から育て上げる時間的な猶予がなくなりました。

新しい業界への参入に1から投資するのはリスクが大きく競合も多いことから、M&Aを用いて投資回収までの時間を短縮し、事業の成熟を待たずして新規事業のビジネスチャンスを手に入れるのが有効な手段として期待されています。

スケールメリットにつながる

競争が激化している現代では、事業をいかに拡大して、いかにスケールメリットを得るのかが重要になってきました。

特に、現代はインターネットの発達により、世界中どこにいても効率の良いサービス、質の良いサービスを選ぶことが可能になったことから、これからの企業は世界経済の中でも埋もれることなく選ばれる企業にならなくてはいけません。

そのためにはある程度の資本力や効率の良い経営が必要になってきますが、M&Aをすることによって、地域を超えたスピード菅野ある成長戦略を展開することが可能になります。

M&Aの目的(売手企業)

売手企業がM&Aを行う目的は以下のようなものです。

  • 事業承継、後継者探し
  • 投資回収や現金化までの時間の短縮
  • 不採算事業売却
  • 救済型M&A

それぞれについて解説していきます。

事業承継、後継者探し

特に中小零細企業のM&Aにおいては、事業承継や後継者探しを目的としたM&Aが多く行われています。

調査では2025年までに70歳を迎える中小企業経営者は約245万人を超えると言われており、その内半分の127万人は後継者不在と見込まれています。

  • 社内に後継者候補がいない場合
  • 後継者候補が経営する意思がない場合

以上に該当する企業はM&Aを用いた事業承継も有効な手段として扱われます。

投資回収や現金化までの時間の短縮

事業投資をした場合、資本回収や事業から収益を上げるには相応の時間がかかります。

特にストック型ビジネスの場合は、長期的な投資計画によって収益が生まれるため、一朝一夕に収益が手に入る訳ではありません。

もし自社の事業で、未だ収益化が出来ていなかったとしても、将来に向かって収益化が出来る可能性が高い場合や、事業の価値を認めてくれる場合M&Aによる事業売却は現金化の近道と言えます。

M&Aでは将来発生可能性が高い利益も、事業の価値として算定出来ます。

M&Aによって投資回収までの時間を大幅に短縮することが出来ます。

不採算事業売却

不採算事業、つまり利益が出にくい企業を売却しスリム化を図ることで、「資金」や「人材」のような経営資源を採算のある事業に集中することが出来ます。

特に今後の人口減少や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内GDPの低下は長期化するものと予想されることから、より筋肉質な経営を目指すことが求められます。その際にもM&Aは有効な手段となり得ます。

救済型M&A

救済型M&Aは、経営不振に陥った会社の救済目的で行われるM&Aのことです。

事業譲渡や合併、第三者割増増資や会社分割などの方法で経営不振の会社を引受ける等、様々な形式でM&Aは行われています。

まとめ

  • 買手側は「事業拡大」「スケールメリット」などを目的にM&Aを行う
  • 売手側は「事業承継」「投資回収」「不採算事業売却」などを目的にM&Aを行う

買手売手双方にM&Aを行う目的があることが分かりました。

双方の目的が合致して初めてM&Aは完成します。

M&Aを検討している人は、しっかりとした目的感を持って臨む必要があります。

現在M&Aを検討しているという人は、具体的に話を進めるためにも一度税理士を初めとした専門家に相談するなど検討してみて下さい。

M&A相談は税理士など専門家にすることをおすすめします。

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