「会社をたたみたいけど税金は支払う必要がある?」
「決算期中で会社を廃業したら税金の支払いは不要?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、清算した場合でも税金の支払は必要になります。
最終的に完全に廃業するまでは、決算申告も税金の支払いも必要です。
今回は会社の廃業や清算と税金の関係について説明します。
【目次】
会社を廃業する場合の税金はどうなる?
会社を廃業する際に税金はどうなるのでしょうか。
実は、解散登記を行った日を起算日として、期首から解散の日までの法人税や消費税、地方税などの申告手続きが必要となります。
その後、余った財産が確定し、解散の日の翌日から1年ごとに清算事業年度の申告が必要です。
清算が終わった後に、残余財産確定事業年度の申告を行う事となりますが、この場合であっても法人税及び地方税、納税義務者であれば消費税の納税も必要になります。
解散時及び清算時の法人税と地方税
先ほど紹介した通り、解散した事業年度であっても、残余財産確定事業年度であっても法人税及び地方税の計算をします。
例えば役員借入金として会社が負債を抱えていた場合は、多くの場合で役員から債務免除をしてもらい、その分が特別利益として計上されます。
つまり損益計算書上では黒字で決算する場合も多いく税金の支払義務が生じます。
廃業や清算する企業の場合、ほとんどが過年度から赤字が続いているケースが多いので、特別利益計上で黒字になった場合でも繰越欠損金によって納税が免除されることがほとんどですが、欠損金等がない場合は、税金の支払が必要になりますので注意して下さい。
清算後にお金が余った場合
清算後において資産が残った場合は、株主に分配されることとなります。
尚、資本部分はもともと株主が出資した分ですので、出資額の範囲までは税金はかかりません。
清算のケースでは考えにくいですが、万が一出資額よりも多くの配当を受け取った場合は源泉徴収が必要になるので注意して下さい。
清算時の消費税はどうなる?
課税業者であれば、解散事業年度であっても清算事業年度であっても消費税の納付義務があります。
尚、清算のために不動産を売却した場合は、その分消費税の納付が必要となるケースもあるので注意が必要です。
清算するつもりが、税金負担が重くなり、結果想定していたよりも多くの負債が残る可能性もあります。
消費税に関して言えば、廃業前に消費税の免責事業者になっておくというのも手段の一つと言えるでしょう。
税金の支払いを遅らせることも出来る
会社を解散する時は、ほとんど資産が残っていないケースがほとんどです。
つまり、税金の支払義務が生じても、それを実際に払えるかどうかは別問題となります。
実は、一定の条件を満たせば、税金は支払いを遅らせたり、免除したりできる可能性もあります。
納税期限を延長するには
納税期限の延長、つまり納税猶予制度を利用すれば、一定の条件に該当すれば最長1年を限度に支払いを待ってくれます。
また、納税猶予制度に該当すると、延滞税に関しては全額もしくは半額免除になります。
納税者にとって利用しない手はありません。
尚、納税猶予制度の条件は以下の“いずれか”に該当する場合です。
- 災害により財産に相当な損失を受けた場合
- 災害、病気、事業の休止等の理由で国税の納付が一時的に出来ない場合
- 一定の期間を超えた後、納付すべき税額が確定したが、一時的に国税の支払が出来ない場合
事業の停止も納税猶予制度に該当するので、利用を検討するのが良いでしょう。
滞納処分の執行停止
納税期限を延長しても結局支払いが出来ないというケースは少なからずあります。
そこで検討したいのが「滞納処分の執行停止」です。
滞納処分とは、簡単に言うと「差押え」のことであり、執行されると財産を没収され競売に掛けられ、強制的に未納分の税金に充てる手続きのことです。この手続きを止めるのが「滞納処分の執行停止」です。
滞納処分の執行停止は、一定の条件を満たす場合で申請することが可能になります。
また、執行停止の状態が3年続くと、未納の税金は消滅するので、納税者にとって利用しない手はありません。
条件に該当する場合は必ず申請するようにしましょう。尚、条件は以下に該当する場合です。
- 滞納処分の執行等をすることが出来る財産がない場合
- 滞納処分の執行により、生活が著しく窮迫する場合
- 滞納処分の執行をする目的財産の所在が不明な場合
ここで注意したいのが、仮にこれらの条件に該当する場合でも、手続きを自分で申請するのは困難だという点です。
複雑な手続きが多いので、出来れば専門家である税理士に依頼してしまうのが良いでしょう。
まとめ
- 会社を清算しても税金の支払は必要
- 税金の支払いを含め支払うべき負債がいくらあるのか計算しておく
- 税金の支払は猶予もしくは免除が可能
清算や廃業においては専門的な知識が必要になります。
その上税金となれば一般的な経営者では分からないことの方が多いです。
税金支払いがいくらになるのか、どの程度資産や負債が残るのかは、会社を廃業する前に必ず計算しておきましょう。
計算等に関しては一度税理士に相談することをおすすめします。