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黒字倒産と事業承継問題について

黒字倒産と事業承継問題について

「事業承継が上手くいかず黒字倒産する場合がある?」

このような不安を抱えて人は少なくありません。

結論から言いますと、事業承継が上手く行かずに黒字倒産するケースは年々増加しています。

会社が上手くいっていていも事業承継についてしっかり考えておかなければ、長期的な発展に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。

黒字倒産とは

黒字倒産とは、経営が黒字、つまり利益が出ているのにも関わらず倒産してしまう事を言います。

基本的には倒産=赤字というイメージが持たれていますが、企業は黒字であっても倒産する可能性があります。

まずは基本的な用語についておさらいしておきましょう。

黒字経営

黒字経営とは、販管費やキャッシュフロー等を正確に管理・把握し、その結果手元にお金が残る(プラス)になる経営を言います。

一般的には損益計算書上の当期利益がプラスの場合を黒字と言いますが、借入金等の返済負担が大きい場合は、黒字であっても経営が傾いている可能性が高いです。

実際の現金の流れをキャッシュフローと言いますが、キャッシュフローが悪化している場合は黒字倒産の危険性があります。

簡易キャッシュフローは「当期利益」+「減価償却費」で算出出来ますが、年間の返済金額が簡易キャッシュフローで賄えていない場合は注意が必要です。

赤字経営

赤字経営とは、利益よりも経費の方が大きくなってしまった結果、現金が手元に残らない(マイナス)になる経営を言います。

一般的には損益計算書上の当期利益がマイナスの場合を赤字と言います。

尚、赤字の場合はキャッシュフロー上でもマイナスの場合がほとんどのため、2期・3期連続で赤字を出すと倒産の危険性が出てくるため注意が必要です。

倒産

倒産とは、債務超過、つまり負債が資産を上回る状態が続き経営が回らなくなった結果、継続して経営を行えなくなる状態のことを言います。

会社が倒産する状態になった場合は、破産、民事再生、私的整理等の法的手続きによって会社を終了させたり再生させたりする必要があります。一般的に弁護士が裁判所を通じて行います。

事業承継と黒字倒産

黒字倒産は利益が出ているのにも関わらず倒産してしまう企業の事を指していますが、キャッシュフローが取れていない場合の他にも「事業承継」が上手く行かず倒産するケースもあります。

基本的には、経営者が高齢のため跡継ぎがいないようなケースで起こります。

2020年度(4月~2月)のデータでは、後継者難による倒産が311件報告されており、これはで前年同月比で10.6%の増加、全倒産に占める割合も4.7%と増加傾向にあります。

少子高齢化が進む日本においては今後大きな問題となってくることが予想され、経営者に取って他人事では無くなっています。

事業承継問題と要因

後継者難の倒産では

  • 死亡
  • 体調不良
  • 高齢

が最も多い倒産の要因となっています。

特に中小企業では代表者の高齢化が深刻な問題になっており、跡継ぎの育成が上手く行かないまま現経営者が死去、もしくは体調不良によって経営から離れなければいけなくなる等が大きな要因となっています。

事業承継問題と産業

10産業の内、事業承継が上手く行かなく倒産した産業は「情報通信業」「サービス業他」を除く8業種で前年を上回る結果となりました。

尚、産業別でみると最も悪化したのは「建設業」で年間70件(前年同月比22.8%)で、次いでサービス業他が64件(ただし前年同月比▲4.4%)、卸売業が53件(前年同月比15.2%)と続きました。

事業承継問題と形態

後継者不足の企業は「破産」によって会社を占めるケースが9割を超えています。

しかし、債権が多の民事再生法は1件、会社更生法は0件であることから、後継者不足企業は消滅型の破産を選択するケースがほとんどです。

つまり、会社そのものを続けられる可能性がある場合もあるのにも関わらず、会社を閉めるという結果になっているケースも多いのです。

事業承継は税理士に相談

事業承継を身近に相談出来るのは、顧問契約をしている税理士です。

事業承継は

  • 後継者育成(人的)
  • 株式譲渡(物的)

の両面から完了させる必要がありますが、両方の専門知識を持っている人はそう多くありません。

しかし顧問税理士であれば、皆さんの会社について誰よりも把握していますし、事業承継そのものについて様々なノウハウを持っていることから、まずは税理士への相談をおすすめします。

事業承継は一朝一夕に完了するものではありません。

数年かかるケースもあることから、自分と会社の将来について少しでも不安がある人は、一度相談しておくのが良いでしょう。

多くの中小企業では70歳を超えてから事業承継を検討するケースが多いですが、一般的には50歳程度から事業承継について考えておくのが望ましいでしょう。

現経営者が若い内に、次の世代への交代を考えておくのも経営者としての責任と言えるのです。

まとめ

  • 利益が出ているのにも関わらず倒産することを黒字倒産という
  • 後継者不足により黒字倒産する企業は増加している
  • 事業承継は税理士に相談して早期に着手することが求められる

事業承継は早めに手を打つ必要があります。

まだ後継者を決めていない場合であっても、後継者を選ぶことも既に事業承継です。

後継者を選んでから考えるでは手遅れな場合もあります。

まずは税理士に相談しましょう。

どうやって後継者を育てるか、どうやって経営権を移すのかという問題を相談し、徐々に解決していくことが事業承継を行う上で大切です。

事業承継を税理士に依頼するメリットや事業承継の流れを全部紹介

税理士紹介センター

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