「顧問税理士がミスをして税金を多く支払った」
「消費税の申告義務が無いのに、不動産購入で消費税が還付されなかった」
このような不安や疑問を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、顧問税理士も人である以上ミスが起こることはあります。
また、そのミスが依頼主に損害を与えるものであった場合は損害賠償請求出来る可能性があります。
今回は顧問税理士のミスで損害を受けた場合に損害賠償請求が出来るのかについて解説していきます。
【目次】
顧問税理士がミスをしたら損害賠償請求出来る?
顧問税理士がミスをして損害を被った場合は、損害賠償請求することは出来るのでしょうか。
結論から言いますと、税理士のミスで延滞税や重加算税などがかかった場合は損害賠償請求出来る可能性があります。
顧問税理士契約を結ぶ際に、損害が生じた場合の対処については予め確認しておくことが望ましいでしょう。
顧問税理のミスで訴訟に発展するケース
以下に該当するケースは、顧問税理士に対して訴訟になる場合があります。
- 税理士の計算ミスで多額の税金を支払うことになった
- 税理士が課税方式の変更を怠ったことにより、消費税を過大に支払うことになった
- 税理士のミスで延滞税や加算税が課せられた
- 税理士のミスで追徴課税が課せられた
そこで気になってくるのが
- 顧問料をもらっている顧問税理士のミスでは、どこまで責任が及ぶのか
という点です。
実際に顧問契約をしているのであれば、税理士のミスや怠慢によって会社に損害が出た場合は損害賠償請求出来る可能性が高いです。
支払すぎた税金は修正申告によって戻ってくる可能性がありますが、わざわざ修正申告すると税務署に目を付けられる可能性もあるため、実際は泣き寝入りしているケースも多いです。
普段からミスが起こらないように、税理士もそうですが、経営者自身も税務や会計について注意しておく必要があります。
顧問税理士もミスしてしまうことがある
顧問税理士も人間ですので、どんなに注意をしていてもミスが起こってしまう場合もあります。
しかし、正確さが最も求められる税理士にとって、単純な計算ミスなどは避けたいものでしょう。
経営者自身が出来る対策としては、税理士がミスをしやすい点について把握しておくことです。
過去の事例などを理解しておくことで自社でのミスを回避できる可能性が高くなるのでいくつか把握しておくのが良いでしょう。
また、ふとした瞬間に異変に気が付く場合もありあます。例えば
「支払う税金が多い」
「税理士が調べものばっかりしていて不安」
「最近取引先の社長が言ってた税法改正について知らなそう」
このようなちょっとした不安や疑問から税理士のミスを回避出来る可能性があります。
会計や税務は全部税理士任せにすることなく、経営者自身もある程度把握してくことが大切です。
損害賠償請求でよくある事例
損害賠償請求が起こるよくある事例は「不動産取得に掛かる消費税の還付」手続きです。
消費税の申告義務がない個人や法人が不動産を購入した場合は、消費税課税事業者選択届出書の提出をして、消費税の申告をすることで支払った消費税を還付してもらえます。
しかし、税理士がよく間違えることがあるのは「消費税課税事業者選択届出書」の提出忘れや、提出期限内の提出が出来なかった場合です。
実はこの消費税課税事業者選択届出書は内容が複雑な上、不備が少しでもあると受付してもらえません。かつ、消費税課税事業者選択届出書を期限内に提出出来なければ還付も受けられませんので顧問税理士と事業主の間で損害賠償請求が起こる可能性があります。
万が一還付が受けられなくなった場合は
「税理士に落ち度があったか」
「税理士の怠慢によるものか、証拠はあるのか」
「依頼主が依頼をし忘れていただけではないのか」
といった点が裁判で争点となりますので、確実に還付を受けられるように不動産購入時点で税理士に確認しておくことが大切です。
まとめ
- 顧問税理士がミスをして損害が出た場合は損害賠償請求ができる
- 経営者自身も異変に気が付けるようになることが重要
- 損害賠償請求裁判では「税理士に落ち度があったかどうか」が争点になるので証拠を押さえる必要がある
顧問税理士がミスをして多額の損失が出た場合は泣き寝入りするのではなく損害賠償請求出来るものなら検討する必要があります。
また、顧問税理士の見直しも必要でしょう。
今後事業を大きくしていく上で顧問税理士は重要な役割を果たしますので、信頼出来るかどうかは最も大切なポイントです。
信頼できる顧問税理士で今後も長く付き合いたいという人であれば、顧問税理士にうっかりミスが無いように事業主自身もアンテナを張って会計や税務を確認することが重要です。
少しも変だなと感じたら迷わず顧問税理士に相談しましょう。
その相談が税理士のミスを防ぐ可能性もあります。