「更正の請求って何?」
「更正の請求をすると税金が戻ってくるってホント?」
「いつまでに更正の請求を提出すればいいのか分からない」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、相続税を払いすぎているケースでは、更正の請求書を税務署に提出することで税金の還付を受けられます。
しかし、どのようなケースで相続税を払いすぎることが発生するのでしょうか疑問ですよね。
過誤納を発見するためにも間違いやすいケースについて把握しておくことが望ましいでしょう。
そこで今回は、相続税と更正の請求をテーマに詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
相続税を支払いすぎてしまったら更正の請求を行う
相続税を多く支払ってしまうケースがあります。
このような場合は、税務署に「更正の請求書(※)」を提出することによって、納めすぎていた税金を還付してもらうことが出来ます。
(※)更正の請求のことを「還付申告」と世間的には使われていますが、正式には「更正の請求書」と言いますので、ぜひ覚えておくようにして下さい。
更生の請求は国税通則法第23条に規定されており、原則この条文に準じて対応することが必要です。
ただし、相続税に関しては、相続財産が被相続人から相続人へ承継されるという、一般の税申告のみならず民法分野にも関係してくることから、相続税法第32条に個別規定されています。
相続税に関しては、国税通則第23条ではなく、相続税法第32条が優先して適用されるため注意が必要です。
そのため、相続税における更生の請求を行う場合は、相続税法第32条に個別規定されている条文についてしっかり理解しておかなければいけません。
更正の請求が認められるケースについて
ここからは相続税法における更正の請求が認められているケースについて紹介します。
- 未分割財産があるケース
- 遺留分の減殺請求のケース
それぞれについて詳しく説明していきましょう。
未分割財産があるケース
相続税の申告期限が近く、まだ遺産分割協議が出来ていない場合、未分割財産は一時的に法定相続分に応じて申告することとなります。
遺産分割協議が成立した後に、当初申告した内容と相違した場合は申告内容を修正しなければなりません。
当初の相続税より相続財産が多くなった場合は、相続税額が増加しますので「修正申告」を行います。相続財産が減って相続税額が減った場合には、更正の請求書を提出し税金の還付を受けるようにして下さい。
遺留分の減殺請求のケース
遺留分の減殺請求とは、「遺留分を侵害された者が,贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求すること」を言います。
簡単に言いますと、遺留分が認められている「配偶者」等の法定相続人が、その遺留分について遺言書などによって他の相続人から侵害されている場合に、遺留分に関しては最低限確保できる権利を言います。
遺留分が認められている法定相続人は
- 配偶者
- 子供および代襲相続人
- 直系尊属
のみです。
つまり、遺留分の減殺請求を認められているのは、「兄弟姉妹ではない法定相続人(※)」で「その相続において相続人に該当する人」であれば、請求する権利を有することになります。
(※)兄弟姉妹は遺留分が認められていないため、遺留分の減殺請求できる権利は持っていない。
遺留分の減殺請求をされた側は相続税が減りますので更正の請求が必要になります。
逆に、遺留分を取得した方は相続税が増えますので修正申告しなければなりません。
更正の請求書を提出出来る期限は?
国税通則法によれば、原則として更正の請求が出来るのは申告期限から5年となっています。
しかし、相続税法32条には「当該事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内」となっているため、相続税に関しては法定申告期限から5年を超えても更正の請求は可能であると考えられます。
ただし、当該事由の発生を知っているのにも関わらず4ヵ月を超えて更正の請求をしなかった場合は逆に請求が出来なくなるため注意が必要です。このケースでは提出期限が国税の原則より短縮されます。
提出期限を過ぎた場合は国税の還付が行われないため注意が必要です。
相続人の間で出来る手続き
実は、相続人同士の相続資産額の変化に応じて、修正申告や更正の請求を挙げ直すことは正直実務ではあまりありません。
税務署としては全ての相続人が納付する相続税額の総額が変わらなければ基本的に問題ないという立場ですので、相続人間で清算してしまうケース実は多いです。
ただし、ある相続人で更正の請求が提出された場合は、他の相続人に対して更正請求通知や修正申告通知が送られることになります。
還付される税金がある場合は、更正の請求期限が4ヵ月と短いですが、忘れずに請求するようにして下さい。