「相続税の申告内容を間違っていたことが分かったけど訂正した方がいい?」
「黙っていたらバレずに済む?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、相続税の申告に誤りがあった場合、気が付いた時点ですぐに訂正しておく必要があります。
特に本来の税金より少なく申告していた場合、後々税務調査で指摘された場合に多額の延滞税や無申告加算税などのペナルティが科せられる可能性があります。気が付いた時点で申告を訂正するようにして下さい。
そこで今回は、相続税の申告を間違っていた場合の手続き方法と、放置した場合のペナルティについて詳しく解説していきます。
【目次】
相続税の訂正申告とは
相続税の申告書を提出した後に、納税額の計算に誤りがあったことに気が付いた場合、申告書を訂正する必要があります。
申告を訂正することを「訂正申告」と呼ばれることがありますが、正しくは「修正申告」と言います。
尚、既に納付した税金が、実際に支払うべき税金よりも少ない場合は「修正申告」となりますが、税額を多く支払っていた場合は修正申告ではなく「更正の請求」という手続きを行うことになります。
本来納めるべき税金よりも少ない | 本来納めるべき税金よりも多い |
---|---|
修正申告 | 更正の請求 |
払い過ぎた税金の還付を受けるためには「更正の請求」は自らの意思で行う必要があります。
税務署が税金額を計算し直してくれる訳ではないため、手続きをしないままでいたら税金を過払いしている状態のままとなるため注意して下さい。
相続税の修正申告が必要となるケース
相続税の修正申告が必要となるケースは以下に該当する場合です
- 相続税の申告後に新たな相続財産が見つかったケース
- 財産評価が誤っているケース
- 相続税の特例の適用額が誤っているケース
- 未分割の財産を法定相続分で分割したものとして申告し、期限後に分割したケース
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
相続税の申告後に新たな相続財産が見つかったケース
申告後に相続財産が新たに見つかった場合は、相続財産の総額が増えるため、相続税額も増加します。
よって再計算をした後に修正申告を行う必要があります。
尚、相続税申告期限後に新たな財産が見つかった場合は、一度申告を終えていたとしても、申告していなかったものとしてみなされ、“申告期限”から数えて延滞税の支払も加算される点に注意が必要です。
ただし、延滞税の加算を拒否するために修正申告をしないままでいるという事だけはやめましょう。
税務署に過少申告が指摘されると、無申告加算税と呼ばれるペナルティが科せられます。
また、過少申告を知っていながらも悪意を持って修正しなかった場合は、無申告加算税よりも重い「重加算税」が科せられ、更に高額な税金支払いを行う必要があります。
財産評価が誤っているケース
相続財産の中でも不動産評価は複雑です。
特に土地に関しては、相続税路線価評価などで単純に計算できるものではない点に注意して下さい。
土地は、不整形地や間口補正、かげ地割合等様々な条件に照らして評価しなければならないため、素人が評価を行うのは困難であり、評価を誤る可能性が非常に高いです。
悪意は無いとしても、実際の評価額と比較し大幅に低く評価してしまった場合は、過少申告として指摘されるため注意が必要です。
相続税の特例の適用額が誤っているケース
実は相続税にはいくつか税額を軽減する特例が存在します。
例えば、配偶者の税額軽減を適用すれば課税価格の1億6,000万円まで相続をしたとしても全額非課税で相続することが可能です。
他にも、小規模宅地を相続した場合も非課税枠の特例があります。
ここで注意が必要なのが、特例を利用した場合の適用額が間違っているケースです。
適用額を誤認し、過少申告に申告してしまった場合や、過大に申告してしまった場合は、修正申告や、更正の請求が必要になります。
尚、特例に関しては申告時に税務署がいちいち確認するわけではありません。
納税は納税者の義務であり、税務署は確認する義務がありません。
つまり、適用額が間違っていてもそのまま申告を受理されてしまいます。
「間違っていただけ」
「知らなかっただけ」
では、過少申告した理由にはなりません。
後々ペナルティを受けたくなければ、ご自身で分からない分野に関しては税理士などに相談することをおすすめします。
未分割の財産を法定相続分で分割したものとして申告し、期限後に分割したケース
相続税には相続開始があったことを知った日から10ヵ月以内に申告するというルールがあります。
しかし、実際には遺産分割協議が終了していないのにも関わらず納付期限が来るケースがあります。
その場合は、法定相続分で相続した仮定して相続税の納付を一旦行う必要があります。
遺産分割協議が終わり、それぞれの相続財産が確定したら、配偶者の特例を始めとした税額軽減を実施し、申告を修正しなければなりません。
一旦申告した税額よりも申告税額が増える場合は「修正申告」減る場合は「更正の請求」を必ず上げるようにして下さい。