税金基礎知識ブログ

家賃収入のある不動産を相続した場合の相続税の取り扱いについて

家賃収入のある不動産を相続した場合の相続税の取り扱いについて

「家賃収入のある不動産を相続したけど評価額はどうなる?」
「相続した不動産から家賃収入を得ているけど税金はどうすればいい?」

このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。

結論から言いますと、相続した不動産には相続税がかかり、相続した不動産から生じた収入には所得税がかかります。

家賃収入のある不動産を相続した場合は、一般的な居住用不動産を相続するよりも手続きが多くなるので、必ず確認しておきましょう。

ここを押さえておかなければ、一歩間違えれば「脱税」になるかもしれませんよ。

不動産と相続税

相続税を減らすための対策として挙げられるのは

  • 相続財産そのものを減らす方法
  • 相続財産の評価額を下げる方法

以上のいずれかの方法があります。

相続財産として基準となるのが「現金」となります。それは現金の評価額は「現金そのもの」の金額となるためです。

しかし、例えば現金を「建物」や「土地」にした場合は、購入価格ではなく固定資産税評価額として評価されるようになります。

固定資産税評価額は以下の基準で評価されます。

  • 土地:公示価格の70%程度
  • 建物:建築費用の60%程度

つまり、現金で土地建物を買った場合、その土地建物の評価額は購入金額の60%~70%まで減価されることから、相続税対策に繋がります。

家賃収入のある不動産の相続税

家賃収入のある不動産は、一般的な不動産よりも価値が低く評価されるため、相続税対策として一般的に行われます。

なぜ一般的な不動産より評価が低くなるかと言えば、借家は権利の制約が大きいためです。

賃貸借契約では原則借主が有利とされています。

これは貸主の都合により不法に退去などをさせられないようにするためですが、逆に収益物件は借主権利の制約が大きいことから不動産の評価額が下がります。

ちなみに、借家権割合が30%程度だとすれば、その評価額は固定資産税評価の70%まで下がります。

つまり、現金を不動産に変えるだけで60%~70%近く評価額が下がる上に、更にそこから30%近く減価されるため、現金で相続した時と比べてその40%程度にまでその評価額を下げることが可能になります。

家賃収入と確定申告

家賃収入のある不動産を相続した場合は、その不動産の評価額に応じで相続税を支払う必要がありますが、家賃収入の部分の処理はどうなるのでしょうか?

相続して所有権が移ってから生じた家賃収入は相続人の「収入」として確定申告しなければなりません。

つまり相続が発生して以降に生じた利益に関しては相続税の多少ではなく所得税の対象となります。

今まで給与所得者で源泉徴収されていた人も、家賃収入を得た時点で確定申告する義務が生じるため注意が必要です。

源泉徴収されませんので、自身で確定申告しなければ脱税になります。

尚、確定申告では「不動産収入」での申告となります。

事業規模で不動産を相続する場合は「事業収入」となりますが、アパート一棟や借家数等の規模間であれば、個人での不動産収入として確定申告して下さい。
※詳しくは税理士に相談することをおすすめします。

支払い期限が来ている未収家賃も相続税の対象

相続以降に生じた利益に関しては相続人の所得税の対象となりますが、相続以前に発生していた家賃で、未収となっている部分に関しては相続税の対象となります。

相続財産の価値を決める基準「財産基本通達」で以下のように定められています。

【未収法定果実の評価】

208 課税時期において既に収入すべき期限が到来しているもので同時期においてまだ収入していない地代、家賃その他の賃貸料、貸付金の利息等の法定果実の価額は、その収入すべき法定果実の金額によって評価する。

つまり、相続時点で滞納となっている未収家賃は本来支払われるべき金額として相続財産に加算され、課税されることになります。

家賃収入と青色申告の申請

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの方法がありますが、控除額が大きかったり欠損控除が出来たりと特典の多い「青色申告」を選択する場合は、申請期限までに税務署に申請しなければなりません。

一般的に青色申告期限は申告しようとする年の3月15日までに税務署に申請が必要ですが、相続で不動産を取得した場合は、もちろん時期がずれるため以下のスケジュールでの申請が認められています。

  • 1月1日~8月31日の間に死亡:死亡日より4ヵ月以内
  • 9月1日~10月31日の間に死亡:その年の12月31日まで
  • 11月1日~12月31日の間に死亡:翌年の2月15日まで

この期限を過ぎると強制的に白色申告での申請となるため、注意が必要です。

まとめ

  • 家賃収入のある不動産は現金で相続した場合と比較して40%近くまで評価を下げられる
  • 相続時点以前に発生していた未収家賃も相続税の対象
  • 相続時点以降に発生した家賃収入は相続人が確定申告する

家賃収入のある不動産を相続した場合は、相続税の申告と所得税の申告両方必要という点に注意が必要です。

また未収家賃の取り扱いなど、一般的な不動産の相続では発生しない問題もあるため、確実な申告をするなら専門家である税理士に相談するのが良いでしょう。

収入があるのに確定申告しなかった場合は脱税となります。これは知らなかったでは済まされません。

所得税の申告は収入がある限り毎年必要になります。取り扱いがまだ不安な初年度は税理士に依頼した方が良いでしょう。

やり方を学んだ上で次年度から自分で申告していくのがよいでしょう。

相続税の相談を税理士へするメリットとは?

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