「天皇陛下には税金がかからないって本当?」
「天皇家にだけ適用される非課税制度があるって本当?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、天皇家にも税金は課税されます。
我々と同様に所得税も相続税も支払う義務がありますので、天皇家は非課税という認識は間違っていると言えるでしょう。
しかし、天皇家にのみ認められている非課税制度が存在するのも事実です。
一部の所得(給付)に関しては、天皇家は非課税でお金を受け取ることが可能です。
そこで今回は、天皇家と税金に関する話を徹底解説しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
天皇家には税金が課されるのか?
天皇陛下をはじめとして天皇家には税金の納税義務はあるのでしょうか。
皆さんは何となく「天皇家は税金と無関係」と思っていることが多いのではないでしょうか。
しかし、実は天皇家も税法に従って納税をしています。
ただし、皆さんの想像通り天皇家にのみ認められている非課税制度もあります。
非課税制度と、実際に支払っている税金について詳しく解説していきましょう。
天皇家に認められている非課税制度
国から天皇家に支払われるお金がありますが、それは皇室経済法と呼ばれる法律に定められた「内廷費」、「皇族費」及び「宮廷費」などが挙げられます。
<内廷費>
天皇・上皇・内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるもので,法律により定額が定められ,令和3年度は,3億2,400万円。
内廷費として支出されたものは,御手元金となり,宮内庁の経理する公金ではありません(皇室経済法第4条,皇室経済法施行法第7条,天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第4条,附則第5条)。
<皇族費>
皇族としての品位保持の資に充てるためのもので,各宮家の皇族に対し年額により支出されます。
皇族費の定額は法律により定められ,令和3年度は,3,050万円です。これは,各皇族ごとに皇族費を算出する基礎となる額で,令和3年度の皇族費の総額は,2億6,932万円です(皇族費の各宮家別内訳)。皇族費として支出されたものは,各皇族の御手元金となり,宮内庁の経理する公金ではありません(皇室経済法第6条,皇室経済法施行法第8条,天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第6条)。
なお,皇族費には,皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金として支出されるものと皇族がその身分を離れる際に一時金として支出されるものもあります(皇室経済法第6条)
<宮廷費>
儀式,国賓・公賓等の接遇,行幸啓,外国ご訪問など皇室の公的ご活動等に必要な経費,皇室用財産の管理に必要な経費,皇居等の施設の整備に必要な経費などで,令和3年度は,118億2,816万円です(宮廷費の内訳)。宮廷費は,宮内庁の経理する公金です(皇室経済法第5条)。
※いずれも引用 宮内庁
所得税法では、これらの給付金については「非課税」として定めていることから、天皇家が受給するこれらのお金について税金はかかりません。
天皇家が支払う税金
先ほど説明した内廷費や皇族費は非課税ですが、逆を言えばそれ以外の所得に関しては所得税の非課税制度は設けられていませんので、一般の国民と同様に所得に対して課税されます。
例えば天皇陛下がマスメディアに出演された時の出演料は、一般の国民と同様に所得税が課税されます。
おそらくは出演メディアに源泉徴収されて納税をしているものと考えられます。
天皇家に課せられる相続税
天皇家には所得税と同様に相続税についても非課税制度の規定があります。
皇室経済法によれば、「皇位とともに皇嗣を受けた物」に関しては非課税であるとしています。
簡単に言えば、天皇陛下から皇太子様が天皇の位を受け継ぐときに一緒に引き継いだ由緒あるものに関しては非課税にするという事です。
由緒あるものとは、三種の神器と呼ばれる「八咫鏡(やたのかがみ)」「八尺瓊勾玉(やさかにのまだたま)」「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」などが挙げられます。
そのため、所得税と同様に、相続税においても由緒あるものの相続でしか非課税制度の利用は出来ません。
つまり、普通の相続財産に関しては全て相続税が課税されます。
尚、昭和天皇が崩御された時は、遺産相続財産は約20億円であったと言われています。
これを皇后様と平成天皇が2人で相続され、平成天皇は約4億2,800万円の相続税を納税されたと言われています。
まとめ
- 天皇家にも所得税や相続税など一般の税法が適用される
- 「内廷費」や「皇族費」などの所得は全額非課税となる
- 皇位と共に継いだ由緒あるものに関しては相続税が非課税になる
天皇家は日本国民の象徴として、我々とは労働環境や生活環境が大きく違うことから一部の税金に関しては非課税とされています。
しかし非課税な所得に関しては予算が確定しているものであり、天皇家が出演や執筆など労働の対価として受け取った所得に関しては、我々一般の国民と同様に納税義務が生じます。
相続財産に関しても三種の神器を初めとした由緒あるものに関しては非課税であるのみであり、一般の財産に関しては相続税の対象となります。
そもそも三種の神器の相続税額を誰が算出できるのでしょうか?という話になりかねませんので、そもそも非課税であるべきものなのではないでしょうか。
天皇家だからといって非課税で優遇されている訳ではありません。
私達日本国民に課せられている税金と同じように納税の義務があるのです。