税務知識記事一覧

譲渡費用の範囲

譲渡費用の範囲

譲渡費用の範囲は通達に例示されるほか、判例の積み上げから判断されています。

通達では、譲渡費用は資産の譲渡のために直接要した費用、及び資産の譲渡価額を増加させるため譲渡に際して支出した費用としています。(直接必要性)

判例:土地改良区決済金事件

平成18年最高裁判決「土地改良区決済金事件」は、従前の概念(直接必要性)にとらわれず「譲渡費用に当たるかは、一般的、抽象的に当該資産を譲渡するために必要であるかによって判断するのでなく、現実に行われた資産の譲渡を前提として客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかにより判断すべきもの」であると判示しました。(客観的必要性)

個別通達のみを改正

最高裁判決を受け土地改良区決済金について譲渡費用であることを認める個別通達が発遣されましたが、譲渡費用の範囲を示す基本通達は改正されず、その後、譲渡費用該当性を争った裁判では、客観的必要性に当たらないとする判決が続いています。

課税庁は最高裁判決の後も従前の解釈(直接必要性)を変更せず、土地改良区決済金のように法令や当事者間の契約など個別事情のあるものにのみ限定して客観的必要性を認めているものと思われます。

取得費と譲渡費用の相互性

不動産売買の仲介手数料は、資産を取得するため支出された場合、取得費付随費用となり、また売却のため支出された場合は、譲渡のために直接要した費用として譲渡費用になります。

その他、土地譲渡の際の建物取壊し費用、立退料もそれぞれ取得費付随費用または譲渡費用となります。

このことから取得費と譲渡費用には相互性があり、取得費に該当するものは譲渡費用にも該当し、また、その逆も成り立つ関係にあるといえます。

抵当権抹消費用も譲渡費用となる?

金融機関からの借入で土地を取得するとき、借主が負担した抵当権設定費用は、土地の取得費を構成しますが、売主が抵当権抹消費用を負担した場合は譲渡費用になるとする意見と、ならないとする意見があります。

しかし、取得費と譲渡費用の相互性の観点からすれば、売主負担の抵当権抹消費用も譲渡費用になるといえるのではないでしょうか。

インボイス制度関連記事

  1. インボイス制度 事業者登録が遅れたら?
  2. 免税事業者が課税事業者となる訳
  3. インボイス制度って何?小規模事業者やフリーランスの人は絶対に知っておかなければならない!
  4. 期中で適格請求書発行事業者となる免税事業者の経理
  5. BtoBでの免税事業者の消費税転嫁は保護されるのか
注目記事 最新記事
  1. 相続税法第58条の改正
  2. 海外在住で日本企業にリモート勤務の所得税と社会保険
  3. 大企業向け賃上げ促進税制のマルチステークホルダー経営宣言とは
  4. 産後パパ育休と育児休業分割取得
  5. M&Aにおける失敗事例について
  1. 「休職制度」の必要性
  2. 中小企業の6割は防衛的賃上げ
  3. 中間申告の義務規定と中間申告無申告容認規定
  4. 相続登記は3年以内に!
  5. ダイレクト納付の新しい手続き「自動ダイレクト」4月開始

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP