「銀行からの借入金があるけど、相続税の納税額が変わるって本当?」
「債務控除されるものについて知りたい」
このような疑問や不安を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、銀行借入等の債務は資産から控除することが出来ます。
資産を購入するための借金を控除できなければ相続税だけが高くなってしまいます。
債務控除については、これから相続税を納税する人は覚えておかなければいけません。
今回は、相続税の債務控除について解説します。
【目次】
相続税の債務控除とは
相続税の計差をする時には、相続財産を基に行います。
この相続財産は「資産」だけではなく「負債」つまり借金も含まれます。
借金があるのにも関わらず、資産の面だけで税金を掛けると相続する側に大きな負担がかかりますので、相続する際に借金の額を資産の額から差し引く「債務控除」を行う事が出来ます。
なお、債務控除が認められるのは以下の2つです。
- 債務:被相続人が亡くなった時にあった債務で、確実と認められるもの
- 葬式費用:葬式にかかった費用
債務については、何が該当するのか分かりにくいため詳しく解説してきましょう。
相続税で債務控除になる債務について
相続税で債務控除の対象となるのは以下の7つです。
- 銀行、個人からの借入金
- 公租公課※国や地方公共団体に納める税金
- 未払医療費
- 賃貸不動産などの預り金
- 水道光熱費などの未払金
- 連帯債務
- 特別寄与料
それぞれについて詳しく説明してきましょう。
銀行、個人からの借入金
銀行などの金融機関からの借入金(消費者金融、生命保険等の貸付制度を含む)や個人間の借入金について、相続財産から債務控除が可能です。
なお、個人からの借入については、実態として借入があったかどうかの判定が必要になります。
特に、親族からの借入に関しては借用書などが無いケースも多く、債務控除が認められない場合もあるので注意が必要です。
公租公課
相続が発生した後に支払う所得税や消費税、固定資産税などの税金は債務として相続税から控除できます。
なお、延滞税等についても被相続人の責任に帰するものは控除することが可能です。
未払医療費
入院にかかった費用など未払いの医療費は、通じぉう被相続人の資産から支払いするため、債務控除が認められます。
なお、死亡診断書の支払いも債務控除出来ますが、これは未払医療費ではなく「葬式代」としての控除になります。
基本的に「債務」としてみても「葬式代」として見ても問題ありません。
賃貸不動産などの預り金
被相続人が営んでいた賃貸不動産の預り金、いわゆる敷金は、最終的に賃貸している人に返すものですので債務控除が認められます。
水道光熱費などの未払金
水道光熱費や電話代、ガス代、電気代などの水道光熱費の未払金は債務控除が認められます。
連帯債務
連帯債務者として支払いをしていた債務に関しては、債務控除が認められます。
負担すべき金額が明らかになっていない場合で、連帯債務者のうちに弁済が不能である人がおり、その債務を負担しなければいけない場合に債務控除が可能です。
しかし、債務控除が出来るのは、被相続人が負担すべき債務の分だけに限られます。
特別寄与料
特別寄与料に関しては令和元年7月以降の相続について適用されることになったものです。
被相続人に対して無償で労務提供したことにより、財産が維持または増加するなど特別に寄与した相続人以外の人がいた場合、その人に対して「特別寄与料」を支払いした分に関しては債務控除が認められます。
簡単に言うと無償で行った医療、看護などが挙げられます。
相続税の債務控除が認められないもの
相続税の債務控除が認められないものがあります。
- 墓地や仏具などの非課税財産に係る未払金
- 保証債務
- 消滅時効の完成した未払飲食費
- 団信信用生命保険付住宅ローン
- 相続人が負担すべき債務
この中でも相続人が負担すべき債務については、債務控除出来るものと間違えてしまうケースがあるので確認しておきましょう。
相続人が負担すべき債務
相続人が負担すべき債務は以下の費用です。これらについては債務控除が認められません。
- 相続財産の管理費用
- 相続税申告のため税理士費用
- 相続人を確定するための戸籍謄本代
- 遺産分割交渉に係る弁護士費用
- 遺言執行費用
など
債務控除が認められるかどうかは、個別の事情により異なりますので、相続に不安がある人は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
- 債務控除することで相続税額の減額が期待できる
- 債務控除出来るのは「債務」及び「葬式代」
- 相続人に帰するものは債務控除の対象にはならない
債務控除が出来るかどうかは、個別のケースによって変わってきます。
資産だけではなく借入等の債務がある場合は税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。
無料相談等を行っている税理士もいますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。