「運転資金を資金調達したいけど、どんな資金使途になる?」
「運転資金には色々な種類があるって本当?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、運転資金にはいくつか種類があり、設備資金と違い資金使途も様々です。
そのため、しっかりと内容を理解しなければ有効な資金利用は出来ず、考えが至らなければ金融機関から信頼してもらえず、最悪の場合資金調達自体上手くいかないケースもあります。
そこで今回は、運転資金にはどんな種類があるのかについて説明していきますので、参考にしてみて下さい。
資金の種類
資金調達する際に金融機関に対して、「運転資金」か「設備資金」のどちらかで調達するのかを説明しなければいけません。
簡単に説明すると以下のような違いがあります。
<運転資金>
- 事業運営に必要な資金
<設備資金>
- 設備投資に必要な資金
設備資金の場合は「車購入」「機械購入」「事務所購入」「改装費」など事業運営上の設備に対する資金のことで、購入した設備は資産として(一般的には有形固定資産)に計上されます。
借方 | 貸方 |
---|---|
車両運搬具※ 1,000千円 |
長期借入金(もしくは短期借入金) 1,000千円 |
※車両購入の場合
以上のような仕訳になります。
一方運転資金は、貸借対照表の貸方に長期借入金として計上されますが、との反対勘定は損益計算書の販売管理費もしくは製造原価として計上されます。
貸借対照表上では、長期借入金が増えた分が当期利益として資本勘定から差し引かれることとなります。
運転資金の場合は経費に支払われることから、資金使途が設備資金より明確になっていません。
ただし金融機関から資金調達を受ける際には「運転資金だから資金使途が決まっていない」では融資審査は通りません。
運転資金であってもしっかり資金使途を決めておかなければいけません。
運転資金の種類
実は、運転資金にはいくつか種類があります。運転資金の使い道を知っておくことが資金調達する上でも、資金繰りを考える上でも重要なことです。
- 経常運転資金
- 増加運転資金
- 季節運転資金
- 回収サイトの変更
- 赤字補填資金
それぞれ詳しく説明していきましょう。
経常運転資金
運転資金と言えば、基本的にこの「経常運転資金」を指していることがほとんどです。
事業を運営するために必要な資金であり、例えば「人件費」「地代家賃」「仕入」など様々な用途に使用されます。
尚、経常運転資金の必要金額は以下の式に当てはめることで算出出来ます。
<経常運転資金>
売掛金+棚卸資産-買掛金=経常運転資金
増加運転資金
売上が増加した時に必要な運転資金に充てるものを「増加運転資金」と言います。
増加運転資金は、売上が上がるのと併せて支払金額が増加する変動費に対して必要になります。例えば、「仕入」や「外注費」などの諸経費支払いです。
一般的に売上金が回収になる前に支払いが必要になるケースが多いので、増収分の経費負担を賄えない場合に増加運転資金が必要になります。
季節運転資金
季節性資金とは、ある特定の季節に増加する運転資金のことです。
例えば、洋菓子店であれば、バレンタインやクリスマスシーズンに通常よりも多くの仕入れをして商戦に備えます。先に必要になる仕入資金などに対して充てられるのが季節運転資金です。
一般的に商戦が終わり入金になれば返済することがほとんどですので、短期資金で対応することが多いです。
回収サイトの変更
今まで15日締め、翌月5日振込だったものが、回収サイトのずれにより月末締め、翌月末振込となった場合、通常よりも25日程度資金の入金が遅れることとなります。
今まで資金繰りが上手くいっていたとしても回収サイトが変更になることで資金繰りが悪化することもあります。
そこに対応するのも運転資金の役割です。
資金繰りが安定するまで必要になりますので、一般的に長期資金で返済していきます。
赤字補填資金
近年ではコロナにより影響を受けた事業者がコロナ資金として運転資金を借りることがありましたが、実質赤字を補填する資金としても運転資金が活用されます。
運転資金は事業を拡大する上で利用されるだけではなく、資金ショートを防ぐための手当として充てられることも多いです。
尚、赤字補填資金であれば一般的に何度も資金支援は出来ません。しっかり改善計画を作った上で計画通りに返済が出来るように努めなければいけません。
まとめ
- 資金には「設備資金」と「運転資金」がある
- 運転資金には大まかに5つの種類がある
- 赤字補填で運転資金を借りる場合は、特に改善計画に準じた事業運営が必要
運転資金は事業運営上絶対に必要な資金です。
その資金を金融機関から借入して充てるのであれば、本業でしっかり利益を出して返済を行わなければいけません。
返済の目途が立たない場合、金融機関は融資してくれませんので、しっかり改善計画を立てて、事業運営に問題がないことを証明する必要があります。
改善計画の策定をどうすれば分からないという人は、一度専門家である税理士に相談することをおすすめします。