「今期赤字決算になるが資金調達しなければならない」
「赤字でも銀行は融資してくれる?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、赤字決算となってしまった場合でも資金調達は可能です。
まずは、赤字決算となった原因と、それを改善する計画を立てることが重要です。
今回は、赤字決算と資金調達について説明していきます。
【目次】
赤字決算とは
赤字決算とは、企業の一年間の売上と経費を計算して、利益と損失をまとめた時に、経費が売上を超え、損失計上となる決算のことを指します。
決算はあくまでも1年間の事業の動きを表したものであるため、1回の決算で赤字を出したからと言って倒産することはありません。
しかし、赤字決算が続くと会社の資金繰りに影響が出るため、倒産する可能性も出てきます。
赤字決算で資金調達する
赤字決算で資金調達することは出来るのでしょうか?
赤字決算で資金調達するためには、赤字決算となった原因を究明し解決することが重要になります。
赤字決算となった理由やその解決策がある場合は、金融機関から資金調達が可能であると考えて問題ないでしょう。
ただし、赤字決算が続いて資金ショートする前に、資金調達は先んじて行うことが最も大切である点をしっかり理解して下さい。
改善計画がしっかりしていても債務超過先と、赤字一回目の企業では信用度が大きく変わってきます。
では実際に考えられるケースについて説明していきます。
ケース1 減価償却負担が重く赤字決算
減価償却とは有形固定資産を決められた期間毎期経費計上してく方法です。
保有する資産が多い場合、減価償却負担も多くなり会社の決算を圧迫することがあります。
売上 | 1,000万円 |
---|---|
減価償却 | 500万円 |
その他経費 | 600万円 |
利益 | ▲100万円 |
このケースでは100万円の赤字決算となっていますが、減価償却は実際手元の現金がなくなる訳ではありませんので、本業で400万円の現金が手元に残ったことになります。
減価償却費500万円-利益100万円=キャッシュフロー400万円
つまり本業で400万円現金を残すだけの能力があると、決算上把握できるので、金融機関も年間返済額400万円を超えない範囲で融資を検討する可能性が高いです。
※1,000万円84ヵ月返済で、元金返済年額144万円。キャッシュフローの範囲で資金調達が可能。
金融機関は基本的に「返済が可能か?」という点を重視します。
企業の返済能力はキャッシュフローに現れますので、キャッシュフローの範囲内で年間返済額が収まるのであれば資金調達は可能であると言えるでしょう。
【簡易キャッシュフロー計算方法】
当期利益+減価償却費
一過性の赤字決算の場合
赤字になった原因が一過性の場合は、同様に資金調達が可能です。
- 役員の退職金計上により一過性の赤字となった
- 固定資産の除去、売却により赤字となった
- 棚卸資産の廃棄処分を行い赤字となった
特に役員の退職金計上により一時的に赤字となるケースはよくある話なので、これが資金繰りに大きく影響を与えることはそこまでありません。
事業承継を検討している場合は、退職金計上により一度大幅な赤字にして会社の株価を下げることも手段として用いられます。
また、固定資産の売却や棚卸資産の廃棄も一時的な赤字としてみなされる可能性が高いです。
しかし金融機関によっては今まで不良資産を資産として計上し続けていたことが分かるため、あまり良い印象を受けない可能性があります。
創業による赤字の場合
設立から5年以内は創業期と呼ばれており、事業が上手く回らない上に初期投資でお金も多く必要となることから赤字決算となることが多いです。
ただし、事業計画に沿った赤字計上であれば、基本的に問題はありません。
事業計画通りに概ね黒字転換する時期が明確であれば資金調達は可能でしょう。
赤字の原因が分かり改善計画を立てる場合
一過性の要因ではない赤字決算であっても改善計画が策定され、改善計画に根拠があるのでれば、事業運営に必要な資金に関しては金融機関が融資してくれる可能性が高いです。
尚、改善計画については税理士などの専門家と共に作成していくのが良いでしょう。
売上や経費に根拠がなければ改善計画をいくら作っても意味がありません。
改善計画が決まれば、金融機関に提出し、資金繰りの必要性について説明するようにしましょう。
その上で金融機関とすり合わせをして、改善計画に基づいた事業運営を行っていきます。
まとめ
- 赤字決算でも資金調達は可能
- 赤字決算となった原因とその対処法について明確にする
- 根拠のある改善計画を作るために税理士に依頼することも検討する
赤字であっても資金調達することは可能です。一過性の赤字であればまず問題なく資金調達出来ます。
ただし債務超過であり、改善が見込めない場合は資金調達ではなく、会社の法的整理や清算等も含めた検討も必要です。
いたずらに借入を増やしても後々大変になるだけです。
経営者だけでは判断できない部分もありますので、一度税理士に資金調達をすべきか相談することも検討しておくのが良いでしょう。