「前期の決算書に間違いがあった場合どうするの?」
「過少申告してしまった場合、黙っていても大丈夫?」
このような疑問を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、決算書に誤りを見つけた場合はすぐに修正するようにしましょう。
税務調査に入られて指摘されてから税金を支払うと、追徴課税や延滞税などがかかり支払うべき税金の最大40%もの重加算税が課せられる可能性があります。
逆に、自主的に修正した場合ペナルティが無く済む場合もあります。
今回は、決算書に間違いがあった場合どうすれば良いのかについて詳しく説明します。
【目次】
決算の修正申告って何?
既に申告している決算に誤りを発見した場合は、修正申告という制度を使って修正をする必要があります。
修正申告をすることで、納付する税金が増える場合は追加納税します。
逆に、「更生の請求」という手続きを行うことで、払いすぎた税金の還付を請求することも可能です。
いずれにしても間違いに気が付いたら、すぐに修正をすることをおすすめします。
万が一過少申告に気づいて起きながら修正申告をしなかった場合、税務調査によって重加算税が課せられ最大で40%の税金が課せらる可能性もあります。
間違いに気づいて自主的に納付した場合は、ペナルティを受けないで済むケースも有るので、正直に申告するようにしましょう。
決算修正って何?
先ほど説明した修正申告はあくまで「確定申告書」上の話です。
実は、決算書については修正申告をもって修正することは出来ません。
そもそも決算書は提出してしまえば、そこから修正をすることが出来なくなります。
ではどうやって決算修正をするかと言えば、中小企業であれば「前期損益修正」という科目で修正処理することが出来ます。
もし決算の誤りに気が付いて、今期の決算にズレが生じる場合は、前期損益修正を利用して正しい申告になるように修正しましょう。
決算修正が起こってしまう原因
では、決算修正が起こってしまう原因として考えられるものをいくつか上げていきましょう。
- 帳簿に起票するのが漏れているケース
- 棚卸資産の評価方法が間違っているケース
それぞれについて詳しく説明してきましょう。
帳簿に起票するのが漏れているケース
そもそも帳簿に起票するのが漏れているケースがあります。
一番多い間違いとしては、期末に入出金が有ったにも関わらず通帳の記帳漏れにより帳簿に起票せず決算してしまった場合です。
このケースでは、決算上では「未収収益」もしくは「未払費用」という貸借対照表上の科目で決算報告されるため、損益計算書上で数字は動かず利益計算に直接関わりません。
つまり、税金額が変わってしまうため、過少申告や過大申告となる恐れがあります。
決算前には決算期末時点の通帳の動きをしっかり確認したり、銀行発行の残高証明書を添付したりするなど対応が必要です。
棚卸資産の評価方法が間違っているケース
棚卸資産の計上ミスもよく起こる間違いの一つです。
期末に商品在庫がある場合は棚卸資産として計算し決算報告をしなければなりません。
しかし、棚卸資産の計算方法を誤る可能性があることに注意する必要があります。
棚卸資産は以下の7つの方法によって計算されます
- 個別法:取得原価が異なるものについてそれぞれ区分して記録
- 先入先出法:先にいれたものから順に払いだす方法(取得原価で計算)
- 後入先出法:後にいれたものから順に払いだす方法(同上)
- 平均原価法:取得した棚卸資産の平均額を割だす方法
- 売価還元法:異種商品を1つにプールし、加重平均を算出する方法
- 最終取得原価法:最終取得原価(期末に近い時期の取得価格)によって算出する方法
- 基準棚卸法:価格の変動なく、生産・販売活動する上で必要最低限の棚卸資産額から算出
いずれの方法を採用しても問題有りませんが、複数の起票方法を使用することは出来ません。
売価還元法を使って起票するのであれば、存在する在庫は全て売価還元法によって算出しなければいけません。
なお、棚卸資産は粉飾決算する際に最も利用される科目の一つです。
棚卸資産を過大に評価することで資産超過に出来ますし、その逆で利益を削減することも可能です。
いずれにしても税務署に指摘されないように正しい起票方法で帳簿を付けることが重要です。
まとめ
- 納税額に修正がある場合は修正申告する
- 一度提出した決算書は提出できない
- 棚卸資産の計算方法には気を付ける。過剰でも過少であっても粉飾となる
納税額が過少であったことが発覚した場合はすぐに修正申告をするようにしましょう。
税務調査後に指摘されるとペナルティの税率も高くなるので注意して下さい。
決算書の作成や税金額の計算に不安を感じているという人は、会計のプロである税理士に決算書作成を依頼してしまうのが良いでしょう。
無料相談会等を行っている税理士事務所も多いので、一度利用を検討してみるのもおすすめです。