「決算書を作っているけど、どの程度法人税がかかるか把握したい」
「法人税率って事業者によって違うって本当?」
このような疑問を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、法人税率は事業者によって違いますが、計算そのものは決して難しいものではありません。
今回は決算における法人税率の計算方法について紹介します。
決算における法人税の計算方法は?
法人税は事業活動を行った各事業年度ごとに課税されますが、単純に会社の利益(収益-費用)に対して課税されるものではなく、税法上の所得金額、つまり益金から損金を引いた額に対して課税されます。
法人税=所得金額(課税標準)×法人税率
法人税の税額は、税引前当期利益の額から算出されますが、法人税額の割合に関しては法人ごとに異なるので注意して計算しましょう。
所得金額
法人における所得金額とは何のことを指しているのでしょうか。
所得金額とは、「売上」「販売高」等のうち収益に相当する「益金」から、売上原価や販売費、その他の費用に相当する「損金」を差し引いた額となります。
そこで重要になるのが、何が益金で何が損金の対象になるのか?という点です。
法人税法では益金として参入するのか否かについて詳しく定められているので、確認しておきましょう。
【益金として算入されるもの】
- 商品や製品の資産販売による収益
- 固定資産、有価証券の資産譲渡による収益
- 請負等の役務提供による収益
- 無償の資産譲渡や役務提供による収益
- 無償の資産譲受による収益
- その他取引による収益
【損金に算入されるもの】
- 収益に対応する売上原価、完工高の原価の額
- 販売費、一般管理等の費用(償却費含む)の額
- 災害等による損失の額
参考:
法人税の税率
法人税の税率は
- 資本金が1億円を超える場合
- 資本金が1億円以下の場合
で大きく変わってきます。
【資本金が1億円を超える場合】
事業開始年度 | 法人税率 |
---|---|
平成28年4月以降 | 23.40% |
平成30年4月以降 | 23.20% |
平成31年4月以降 | 23.20% |
資本金が1億円を超える企業の場合は一律で以上の税率に当てはめることが出来ますが、資本金が1億円以下の事業者に関しては少し複雑になっているので注意が必要です。
【資本金が1億円以下の場合】
対象となる課税所得 | 事業者区分 | 事業開始年度と法人税率 |
---|---|---|
年間800万円以下の部分 | 適用除外事業者 |
平成28年4月以降…19.00% 平成30年4月以降…19.00% 平成31年4月以降…19.00% |
上記以外の事業者 |
平成28年4月以降…15.00% 平成30年4月以降…15.00% 平成31年4月以降…15.00% |
|
年間800万円超の部分 | 全事業者 |
平成28年4月以降…23.40% 平成30年4月以降…23.20% 平成31年4月以降…23.20% |
※適用除外事業者とは、過去三年間の所得平均額が15億円を超える法人等が対象
例えば、適用除外事業者が2,000万円の課税所得が出た場合は
800万円の部分については税率19.00%。つまり152万円
1,200万円の部分については税率23.20%。つまり278.4万円
合計で430.4万円の法人税
ということになります。
なお、法人税率は改正されることも多いので、最新の情報は国税庁のホームページで確認するようにして下さい。
参照:
法人税の計算を実際にしてみる
ではここからいくつかの事例を基に、実際に法人税を計算してみましょう。
- ケース1
・資本金3億円、課税所得1,000万円
・1,000万円×23.2%=232万円
ケース1の場合は、資本金が1億円を超えているので、課税所得全額に対して23.2%の法人税率が適用されます。
- ケース2
・適用除外事業者で資本金3,000万円、課税所得700万円
・700万円×19.0%=133万円
ケース2の場合は、適用除外事業者で資本金が1億円未満のため、800万円以下の課税所得に対して19.0%の法人税率が適用されます。
- ケース3
・適用除外事業者以外で資本金5,000万円、課税所得2,000万円
・800万円×15.0%=120万円 1,200万円×23.2%=278.4万円
・120万円+278,4万円=398.4万円
ケース3に対しては、適用除外事業者以外で資本金が1億円未満のため、800万円以下の課税所得に対しては15.0%、800万円を超える課税所得に対しては23,2%の所得税率が課税されます。
- ケース4
・適用除外事業者以外で資本金1億円、課税所得500万円
・500万円×15.00%=75万円
資本金1億円超ではなく、適用除外事業者以外であれば、800万円以下に関しては一律15.00%の法人税が課せられるため、このケースでは75万円の法人税支払いとなります。
まとめ
- 法人税率は資本金1億円超か以下かで変わる
- 法人税率は適用除外事業者か否かで変わる
- 法人税率は課税所得が年間800万円超か以下かで変わる
法人税の計算は、法人税率に当てはめて計算することで算出出来ますが、課税所得の益金及び損金の計算は面倒に感じる人も多いです。
法人税の計算、つまり決算業務は税理士に任せたいという人も多いです。
決算業務だけ税理士に依頼することで税理士報酬も比較的少なくて済みますし、確実に納税を行うことが出来ます。
もし、税理士に一度相談してみたいという人は無料相談会等もありますので、一度検討してみることをおすすめします。