税金基礎知識ブログ

相続税の債務控除について解説!

相続税の債務控除について解説!

「債務控除って何?」
「債務控除にはどのようなものがある?」

このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。

結論から言いますと、債務控除とは、相続した債務で相続した資産を相殺できることです。

債務も一緒に相続することで相続税負担を大幅に減らすことが出来ます。

今回は債務控除をテーマに解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

債務控除とは

相続税には債務控除と呼ばれる制度があります。

債務控除とは、相続財産の価額から、被相続人が残した債務(借金)や葬式に係った費用を控除して課税価格を算出することが認められた制度のことです。

【相続財産】

  • 現金
  • 預金
  • 土地
  • 建物
  • 有価証券
  • 生命保険
  • その他の財産(骨とう品、車など)
【債務控除】

  • 借入金
  • 未払費用
  • 葬式費用
【純資産総額】

相続財産―債務控除=相続税の課税価格

債務控除が認められる範囲

債務控除が認められる範囲は、相続開始時に現に存在し確実であると認められる債務に限られます。

主な債務は「借入金」ですが、未納の税金などの「未払費用」の債務控除の対象となります。

ここからは債務控除の対象になるもの、ならないものをそれぞれ紹介していきます。

借入金

借入金には債務控除の対象となる借入金と、対象とならない借入金があります。

債務控除の対象となる借入金

債務控除の対象となる借入金は

  • 金融機関などの第三者からの借入金
  • 連帯債務による借入金

以上が含まれます。

金融機関などの第三者からの借入金

金融機関等第三者から借入を行っている債務に関しては、相続開始時の確実な債務と言えるため、債務控除の対象となります。

基準日は亡くなった日の当日であり、借入金の残高及び未払利息に関して債務控除が認められています。

連帯債務による借入金

連帯債務とは、一つの債務に対して各債務者が全責任を負う債務のことです。

連帯債務の場合は通常持分と呼ばれる、債務の内どの程度を引き受けるかをあらかじめ決めているため、被相続人が負担している分を債務控除の対象とすることが可能です。

尚、他の連帯債務者が返済不能等履行困難になった場合で、その債務に関しても被相続人が負担することになった場合は、その負担分を加算して債務控除の対象とすることが出来ます。

債務控除の対象とならない借入金

債務控除の対象とならない借入金は

  • 保証債務
  • 団信保険が付された住宅ローン

以上が含まれます。

保証債務

保証債務とは、別にいる主債務者が返済不能や返済拒否等の債務不履行が発生した際に、債務者に代わって返済を履行することを言います。

保証債務に関しては債務控除の条件である、「相続開始時に現に存在し確実であると認められる債務」という点に関して満たさないことから債務控除の対象となりません。

ただし、主債務者が返済不能の状態にあり、保証人が負担せざるを得ない状況である上、主保証人が債務者に対して返還を行えない場合には、保証債務を履行した金額に対して債務控除が利用できます。

団信保険が付された住宅ローン

団体信用生命保険が付された住宅ローンは、被相続人が死亡した際に債務が保険金により完済となるため債務が残らず、債務控除の対象とはなりません。

未払費用

未払費用には債務控除の対象となる未払費用と、対象とならない借未払費用があります。

債務控除の対象となる未払費用

債務控除の対象となる未払費用には

  • 租税公課
  • 未払医療費
  • 未払公共料金
  • 事業上の未払金
  • その他の未払金

が含まれます。

租税公課

所得税や消費税、住民税や固定資産税などの税金で未払のものがある場合は債務控除の対象となります。

ただし、申告漏れによる延滞税や加算税などは被相続人の事情によるものは債務控除の対象とならないため注意が必要です。

未払医療費

亡くなる直前に治療を受けていた病院等に対する未払医療費を相続人が支払いした場合は債務控除の対象となります。

未払公共料金

未払なっている水道光熱費や電話料金等の未払公共料金を支払った場合も債務控除の対象となります。

事業上の未払金

被相続人が行っていた事業に関わる買掛金や未払金、不動産の未払地代家賃などが発生している場合で、その分を被相続が支払った場合に関しては債務控除の対象となります。

その他の未払金

被相続人が生前利用していたクレジットカードの未決済分などを相続人が支払った場合、債務控除の対象となます。

債務控除の対象とならない未払費用

債務控除の対象とならない未払費用には

  • 墓地や仏壇の購入費
  • 相続財産の維持管理費

などが含まれます。

墓地や仏壇の購入費

墓地や仏壇等に関しては、相続税自体が非課税となっているため債務控除の対象とはなりません。

相続財産の維持管理費

相続財産の維持管理費はそもそも相続人が負うべき負債出るため、債務控除の対象とはなりません。

葬式費用

葬式費用にも債務控除の対象となるものとならないものがあります。

こちらは一覧にして紹介します。

債務控除の対象となる 債務控除の対象とならない
  • お通夜や告別式の費用
  • 葬儀に関連する料理代
  • 火葬料、埋葬料
  • 遺体の運搬費
  • 葬儀場までの交通費
  • 御布施、読経料
  • その他通常葬儀に伴う費用
  • 香典外資
  • 生花
  • 位牌、仏壇、墓石
  • 法事に関する費用
  • その他通常葬儀に伴わない費用
注目記事 最新記事
  1. 決算で現金が合わない場合はどのように処理をする?
  2. 国税の信託型ストックオプションへの見解と税制適格ストックオプションの株価算定ルール
  3. 勤労学生控除とは何か?学生であれば全員適用できるわけではない!?
  4. 社会保険の「二以上勤務届」と給与計算
  5. M&Aにおける失敗事例について
  1. 年の中途に退職した人の年末調整
  2. 保険料控除証明書の到着は必要な保険か否かを見直す好機です
  3. 採用と健康状態の調査
  4. 見落としがちな「逆パワハラ」
  5. 不法就労助長とリスク

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP