「相続税が高くて支払えない場合はどうすればいい?」
「相続税支払い資金として融資が受けられるって本当?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、相続税が払えないケースは少なからず存在します。
相続財産が現金ではない、不動産などの割合が高い場合は、相続税の支払いが困難になる人は多いです。
その上、そのような時にどう対応すべきかどうか分からない人もいるでしょう。
実は、相続税の支払いが困難になった場合の解決方法は3つあります。
それぞれの違いをしっかり理解して選択する必要があります。
そこで今回は、相続税が払えない場合にどうすればいいのかをテーマに解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
相続税が払えない場合の方法
相続税が払えない場合は、以下の3つの方法により解決を図りましょう。
- 相続財産の売却
- 金融機関からの融資
- 物納、延納制度の利用
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
相続財産の売却
不動産等の相続財産は現金が手元に残りません。
しかし、相続税の納付は原則現金納付であるため、自己資金をあまり持っていない人にとって相続税が支払えないケースは多いです。
また、土地建物の評価額によっては相続税額が1,000万円以上などと多額になることもあり、自己資金をある程度持っている人でも支払いが出来ないケースは少なくありません。
不動産などの現金化されていない相続財産を取得した場合で、相続税の支払いが困難なケースは、相続財産を売却し現金化して支払う方法を検討してみましょう。
もし、相続税支払いのために売却することを決めた不動産があるのなら、早めに遺産分割をして売却の話を進めることが重要です。
尚、不動産は売却し現金化するまでに時間を要することから、相続税の納付期限までに間に合わない可能性があることにも注意が必要です。
金融機関からの融資
納付期限までに相続税が支払えない場合は、銀行などの金融機関から借入して納税する方法があります。
融資を受ける場合は、利息の支払負担が増えますが、無理に不動産などを値引きして売却し現金化を図るよりも有利になるケースが多いです。
現在は融資利率もさほど高くないことから、借入負担も少なく済みます。
尚、以下に紹介する「延納」の利子税をよりも融資利率の方が低いこともメリットの一つです。
物納、延納制度の利用
最後に、相続税を一括で納付できない場合に利用できる「物納」や「延納」制度について紹介します。
延納とは
相続税は、現金で一括納付することが原則です。
しかし、現金で納付することを困難とする理由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、分割で納付することができます。
これを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
延納の要件
延納を利用できるのは以下の4つの要件を満たす必要があります。
- 相続財産が10万円を超える事
- 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること
- 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること(※)
(※)ただし、特例として延納税額が100万円以下で、かつ、延納機関が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。 - 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
担保の種類
延納で提供する担保の種類は以下に挙げられるものに限られます。
- 国債および地方債
- 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
- 土地
- 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
- 鉄道財団、工場財団など
- 税務署長が確実と認める保証人の保証
尚、税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることとなります。
物納の要件
相続税の物納は、延納によっても納付することが困難である場合に、現金による納付が出来ない金額を上限に行うことが出来ます。
ただし、物納を利用した場合、時価評価ではなく相続税路線価によって評価されるため、実際の価格よりも評価が低い金額で収納されてしまうため注意が必要です。
金融機関から融資を受けて相続税の支払いを行うメリットデメリット
相続税の納付方法は「売却」「融資」「延納・物納」であると説明しましたが、このうち融資を受けて相続税支払いを行った場合のメリットとデメリットについて詳しく解説していきましょう。
融資で支払うメリット
先ほども紹介しましたが、基本的に延納の利子税よりも融資利率の方が低いケースがほとんどです。
融資であっても延納であっても利息支払いが生じるため、利率が低い方を選択することが重要です。
融資で支払うデメリット
金融機関から借入を行う際に「保証人」や「担保」が必要になるケースがあります。
借入金額によっては無担保無保証での融資も可能ですが、1,000万円を超えるような多額の借入であれば無担保無保証融資は困難であると言わざるを得ません。
また、基本的には相続税支払いのための融資は審査が厳しくなることが多いです。
審査結果が出るまで時間がかかると想定し、納付期限に余裕を持った借入相談を行うようにして下さい。