問題の背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、多少の感染数の増減はあるものの、概ね小康状態にあるといえそうですが、その中で、コロナ後遺症によって働くことが困難な人や、本来の仕事の遂行に支障をきたす事例が見受けられます。
また、その症状には個人差があるため、会社としてどのような対応をすればよいか悩まれている経営者もいるでしょう。
そこで今回は、コロナ後遺症の主な症状や受診の目安、後遺症が疑われる従業員に対する会社の必要な配慮等について解説します。
コロナ後遺症の主な症状
コロナ後遺症としては200を超える症状が報告されています。
症状別で最も多く報告されているのは「倦怠感」で、発症後12か月経過後でも13%の人が倦怠感に悩んでいるという報告もあります。
また、神経組織の障害が病因とされる「集中力の低下」、「睡眠障害」、「記憶障害」が上位に挙げられています。
その他、コロナ罹患時の肺炎が病因と考えられる「呼吸困難」や「筋力低下」、コロナ禍でも話題になった「味覚障害」や「嗅覚障害」も多く報告されています。
会社が行う必要な配慮
これらの症状が見受けられる従業員がいた場合に会社は何をすべきでしょうか。
当然医学的な専門領域ですので会社としてできることは限られますが、以下の2つは検討してみて下さい。
- 受診勧奨
東京都福祉保健局のコロナ後遺症対応医療機関に関する情報サイトなどから、地域別や症状別に受診可能な医療機関の情報を得て、コロナ罹患前には感じることはなかったが、罹患後感じるようになった自覚症状があり、日常生活や仕事に支障をきたす状態であれば、従業員に受診を勧めて下さい。
- 治療と仕事の両立支援
疲労や倦怠感だけでも重症になると、日常生活を送ることさえ困難になることが報告されています。コロナ後遺症に罹患した疑いのある従業員の気持ちに寄り添い、これから仕事をしていくうえで困難と思われることはあるかなどを聞き取り、必要に応じて医師とも相談しながら、従業員が治療と仕事を両立できるように支援することが求められます。