「事業承継の税制優遇を受けるにはどうすればいい?」
このような不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、税制優遇を受けるためには一定の要件を満たし、手続きを行う必要があります。
これから事業承継を検討されている人は、自分が税優遇制度を受けられるか判断するためにも必要になりますので、制度について流れやポイントを押さえて置く事が大切です。
【目次】
事業承継における贈与税・相続税の納税猶予又は免除を受ける手続き
納税額の猶予を行うためには
- 都道府県知事の認定
- 税務署への申告
以上の手続きが必要になります。
【相続税の納税猶予についての手続き】
<都道府県庁>
- 相続の開始から認定まで
- 相続開始後から8ヵ月目までに申請
- 審査後認定書が交付される
↓
<税務署>
- 税務署へ申告
- 認定書の写しと共に、相続税の申告書等を提出
- 納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供
↓
<都道府県庁・税務署>
- 納税猶予の開始から申告期限後5年間
- 都道府県庁へ「年次報告書」を提出(年1回)
- 税務署へ「継続届出書」を提出(年1回)
↓
<税務署>
- 申告後5年経過後
- 税務署へ「継続届出書」を提出(3年に1回)
【贈与税の納税猶予についての手続き】
<都道府県庁>
- 贈与の実行から認定まで
- 贈与の翌年1月15日までに申請
- 申請後、認定書が交付される
↓
<税務署>
- 税務署へ申告
- 認定書の移しと共に、贈与税の申告書等を提出
- 納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供
↓
<都道府県庁・税務署>
- 納税猶予の開始から申告期限後5年間
- 都道府県庁へ「年次報告書」を提出(年1回)
- 税務署へ「継続届出書」を提出(年1回)
↓
<税務署>
- 申告後5年経過後
- 税務署へ「継続届出書」を提出(3年に1回)
納税猶予を受けるために必要な書類
納税猶予を受けるためには、以下の書類を準備する必要があります。
【認定(相続税の場合)(提出先:主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁】
主な作成書類 | 主な添付書類 |
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【納税猶予(相続税の場合)(提出先:被相続人の所在地を管轄する税務署】
主な作成書類 | 主な添付書類 |
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納税猶予を続けるための要件
納税猶予を継続して行くためには、以下の主な要件を満たすことが必要になります。
万が一要件を満たさなかった場合は、納税猶予税額の全額あるいは一部の納付が必要となりますので注意して下さい。
<主な要件【相続税・贈与税共通】>
- 申告期限後5年間
- 後継者が会社の代表者であること
- 雇用の8割り以上を5年間平均で維持すること
- 後継者が筆頭株主であること
- 上場会社、風俗営業会社に該当しないこと
- 猶予対象株式を継続保有していること
- 資産管理会社に該当しないこと
- 申告期限後5年経過
- 猶予対象株式を継続保有していること
- 資産管理会社に該当しないこと
納税猶予額が免除になる要件
以下に記載した一定の要件を満たす場合、納税猶予額が免除されます。
【相続税】
- 後継者(相続人)が死亡した場合
【贈与税】
- 現経営者(贈与者)又は後継者(受贈者)が死亡した場合
【相続税】【贈与税】共通
- 申告期限後5年間において、やむを得ない理由により、後継者が代表権を有しなくなった日以降に、後継者が「猶予継続贈与」を行った場合
- 申告期限後5年経過後に、後継者が「猶予継続贈与」を行った場合
- 申告期限後5年間経過後に、会社が破産手続き開始の決定又は特別清算開始の命令等を受けた場合
平成29年度改正における見直し
最後に平成29年度改正における見直しについて説明していきます。
平成29年度税制改正においては、人手不足への対応や生前贈与の促進の観点から、以下の見直しが行われました。
- 従業員が1人減っても納税猶予が継続
従業員数4人の企業の場合、5年間の平均従業員数が3人以上であれば、雇用要件を満たす
- 相続時精算課税制度との併用が可能となり取消し時のリスクが軽減
- 最愛や取引先の倒産等が発生した場合の要件緩和
税制優遇を受けるために税理士に相談する
以上の税制優遇を受けるため、まずは税理士へ相談してみて下さい。
自分自身で申告することも可能ですが、手続きが煩雑で分かりにくい部分も多いため、税理士に一任してしまった方が、そもそも自分が税制優遇を受けられるか判断をするためにもスムーズです。
顧問税理士が居ない場合は、お近くの税理士事務所や無料相談会等を活用して、一度相談されることをおすすめします。
まとめ
- 税制優遇を受けるためには都道府県庁及び税務署へ申告する必要がある
- 必要書類等を準備する必要があるため予め内容を理解しておく
- 煩雑な手続きや不明点は税理士に相談する
事業承継において税制優遇を受けられるかどうかで税負担が大きく変わります。
スムーズな事業承継を行うためにも、後継者の税負担額を少しでも軽減出来るように手続きをする必要があります。
税理士と相談しつつ、納税猶予又は免除の優遇を受けられるかどうか確認してみることが大切です。