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顧問税理士は監査役を兼任できる?税理士と監査役の業務の違いについても紹介

顧問税理士は監査役を兼任できる?税理士と監査役の業務の違いについても紹介

「顧問税理士を監査役として兼任させたい」
「顧問税理士以外の税理士であれば監査役として迎えらえる?」
「そもそも監査役の設置は必要?」

このような疑問や不安を抱えている人は多いです。

結論から言いますと、顧問税理士と監査役の兼任は会社法や税理士法により制限されていると判断される可能性が高いです。

会社の内情を知っているからこそ監査する立場として不適格であるとみなされる場合が多いのです。

今回は顧問税理士と監査役の兼任及び、それぞれの業務について説明していきます。

顧問税理士は監査役を兼任できるのか?

顧問税理士に会社の監査役を兼任させたいと考えている経営者も少なくありません。

結論から言いますと、顧問税理士は監査役を兼任することは認められない可能性が高いです。

なぜなら、会社法335条で監査役の資格について以下のような記述があるからです。

【会社法335条】

(監査役の資格等)
第335条 第331条第1項及び第2項の規定は、監査役について準用する。
2 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
3 監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

簡単に言うと監査役は以下のケースでは兼任が出来ないとされています。

  • 株式会社、または子会社の取締役、支配人、使用人
  • 子会社の会計参与
  • 子会社の執行役

顧問税理士は特定の会社と顧問契約を結び、会社の内情を把握していることから「使用人」に該当する可能性が高く、監査役として兼任出来ない可能性が高いです。

なお、税理士法でも税理士の役割として「独立した公正の立場」である必要があると定められていますが、顧問税理士と監査役を兼任することはこの「独立した公正の立場」が侵害される可能性が高く、会社法・税理士法の両方から、顧問税理士と監査役の兼務は認められない可能性が高いのです。

顧問税理士と監査役の業務の違い

顧問税理士と監査役の業務には以下のような違いがあります。

【顧問税理士と監査役の業務】

顧問税理士 監査役
税務の代理 会計監査
税務書類の作成 業務監査
税務相談

それぞれについて詳しく説明していきましょう。

顧問税理士の業務

顧問税理士の業務は主に以下の3つとなっています。

  • 税務の代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

これらの業務は税理士の独占業務であり、税理士のみが扱える業務となっています。

以上の業務を具体的に説明すると

  • 税務の代理

    確定申告の承認申請、税務調査の立会、税務署に対する主張・陳述 など

  • 税務書類の作成

    確定申告の作成、源泉所得税納付書作成、法定調書の作成 など

  • 税務相談

    納税額の計算、税金の還付請求、節税対策 など

となっています。

また、税理士の専門業務の他にも

  • 補助金申請
  • M&A相談
  • 融資相談
  • 相続税対策

などのコンサル業務も併せて行うケースが多くなってきました。

会社を税務会計の立場からトータルサポートするのが顧問税理士の主な役割となっています。

監査役の業務

監査役は取締役の職務執行を監査(監督検査)するのが主な役割となっています。具体的に言うと以下の2つになります。

  • 会計監査

    企業が提示する財務諸表が会計基準に合致しているかチェックする

  • 業務監査

    企業の会計業務以外の業務が法令に違反していないかチェックする

なお、監査役の設置は上場企業であれば必要ですが、非上場企業では原則任意であるため監査役はいなくても問題ありません。

通常監査役の任期は4年ですが、条件を満たせば最長10年まで延長出来ます。

顧問税理士に監査役を依頼したい場合

顧問税理士をどうしても監査役にしたいと考えている人は、顧問契約を解除することで監査役として認められる可能性もあります。

ただし、一般的に会社の内情を知っている税理士に依頼するという事は、正確な監査が出来ない、不正を疑われれるなどの不利益を受ける場合があります。基本的には税理士以外の人を監査役にする方が良いでしょう。

管轄の市町村役場に連絡すると、人材を紹介してくれる場合もありますので、一度相談してみるのも良いでしょう。

まとめ

  • 顧問税理士は会社法や税理士法の観点から監査役との兼任は出来ない
  • どうしても顧問税理士を監査役につけたい場合は、顧問契約を解除する必要がある
  • 正確な監査が出来ないと、投資家が不信感を募る可能性もありデメリットも大きい

監査の基本は、申告内容が間違っていないか第三者による監督検査です。

そのため顧問契約をしている税理士では会社寄りの人間としてみなされるので監査役としては向いていません。

投資かや銀行に対して正しい申告であると証明したいのであれば、会社と関りが無い第三者を監査役につけ、徹底した監査を依頼する方が良いでしょう。

身内に頼んで曖昧な監査を行っても意味がなくなるので、顧問税理士と監査役は会社を運営する上で別々に考えておく方が無難です。

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