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決算前に商品券を大量に購入して節税した人の末路

決算前に商品券を大量に購入して節税した人の末路

「利益が出そうだから決算前に商品券を大量に購入して経費計上したいけど可能?」

このような疑問を抱えている人は少なくありません。

決算前の商品券を大量に購入することは、節税になるのでしょうか。

結論から言いますと、決算前に商品券を大量購入しても「節税にならない」と考えていた方が良いでしょう。

商品券の取り扱いを間違えると、せっかく現金を減らして商品券を大量に購入したのに、経費にすら出来ず、結局多くの法人税を支払うという結果になりかねません。

そうならないために一緒に商品券の扱いについて理解を深めていきましょう。

そこで今回は、決算前に商品券を大量に購入する節税について徹底的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

決算前の商品券の大量購入は節税になる?

先ほども紹介した通り、商品券を大量に購入しただけでは経費になりません。

まずは、「購入」することで経費になるのものと、ならないものを表にまとめましたので確認してみましょう。

【経費になるもの/ならないもの】

項目
経費になる
  1. 一定金額以下の減価償却資産(事業に供するもの)
  2. 一定の要件を満たした消耗品
    • 事務用品費:プリント用紙/ホチキス/ペン 等
    • 作業用消耗品:タオル、ブラシ、包装資材 等
    • 広告宣伝用印刷物:カタログ、パンフレット、ちらし 等
    • サンプル、試供品、見本品 等
経費にならない
※使用することで経費にできる
  1. 商品、材料
  2. 一定金額以上の減価償却資産
  3. 収入印紙、郵便切手、回数券、プリペイドカード等
  4. 商品券

商品券と同様に収入印紙や切手、回数券等も経費にすることは出来ないのが分かります。

ただし、これらは「使用すること」で経費にできることも分かりました。

商品券は決算前に大量に購入しただけでは経費としては認められず、使用することが経費として計上できる条件となっているのです。

商品券の税務上の取り扱い

商品券は、その使用方法によって税務上の取り扱いが大きく変わりますので確認しておきましょう。

項目
経費として落ちる 自社の経費支払いのために使用
従業員に配布
取引先に配布
不特定多数に広告宣伝目的で配布
経費として落ちない 社長のプライベートのために使用
未使用

自社の経費支払いのために使用

そもそも経費の支払いに商品券を用いる場合、その使用分は経費として計上できます。

このケースでは、商品券を現金と同様の取り扱いと考えていれば理解しやすいでしょう。

従業員に配布

経費として計上出来ますが、給与として扱われます。

給与計上のため企業は源泉徴収しなければならず、受け取った従業員はその分の所得税を支払う必要があります。

このケースでも、商品券を現金と同様の取り扱いと考えていれば理解しやすいでしょう。

取引先に配布

取引先に配布する場合は、接待交際費として経費計上することが出来ます。

不特定多数に広告宣伝目的で配布

不特定多数に広告宣伝目的で配布する場合は、広告宣伝費として経費計上することが出来ます。

社外の人間に配布することで節税効果がありますが、「いつ」「誰に」「どのくらい」配布したのかを正確に記録し「証拠書類」として残しておきましょう。

社長のプライベートのために使用

商品券の取り扱いで最も注意したいのが、この「社長のプライベートのために使用」した場合です。

従業員への配布は源泉徴収する義務が生じる反面、経費にすることが出来ましたが、実は社長のプライベートのために使用に関しては経費に落とすことが出来ないのです。

経費に落とすことが出来ない上に社長の「役員賞与」として計上されることとなるため、社長個人の所得税や住民税、社会保険料も取られることになります。

商品券が経費で落ちないことも併せると二重で課税されることになるため、商品券を社長のプライベートで使用するのは避けた方が無難でしょう。

未使用

未使用の場合は貯蔵品として資産計上されるため、経費に落とすことは出来ません。

消耗品の場合経費に落とすことも可能

先ほども紹介しましたが、商品券や収入印紙等は基本的に「使用」しなければ経費にすることは出来ません。

しかし、「消耗品」に関しては、実は次の3つの要件を満たした場合に限り、税務上の特例を使用することが可能になり、購入年度の経費として計上することが出来ます。

つまり決算直前であっても節税することが出来る有効な手段として活用出来るのです。

  1. 毎年おおむね一定数量を購入するものであること
  2. 毎年経常的に消費するものであること
  3. この処理方法を継続して適用すること

もちろん、年度によって購入したりしなかったりと変化する場合は、この規定が適用されないため注意が必要です。

この特例を使用すればそもそも全額経費として計上できるので、資産とはならず「棚卸」を計上する手間が省けます。

つまり、節税も出来て面倒な決算処理の手間を減らすことが出来るため、利用してみる価値はあるのではないでしょうか。

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