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事業承継税制のデメリットについて解説

事業承継税制のデメリットについて解説

「事業承継税制の利用をしたいけどデメリットってあるの?」

このような不安を抱えている人は少なくありませんん。

結論から言いますと、事業承継税制には制度が利用しにくいというデメリットがあります。

事業承継税制は事業承継時の納税負担を軽減できる税制優遇制度となっていますが、制度を利用するためには様々な要件をクリアし手続きを進めなければいけません。

しかし、その手続きが結構煩雑であるため利用者が増えていないのが現状となっています。

今回はそんな事業承継税制のデメリットについて解説していきます。

事業承継税制とは

事業承継税制は、相続税や贈与税の納税猶予又は免除を受けられる優遇制度で、2009年度の税制改正によって導入されました。

正式名称を「非上場株式等について相続税・贈与税の納税猶予の特例」と言い、中小企業や個人事業主の後継者が「先代からの自社株や財産引継ぎのコストが大きく事業承継が上手くいかない」という要望に対応して作られた制度です。

「非上場株式等について相続税・贈与税の納税猶予の特例」を利用すれば、事業を引き継いだ後も一定の要件を満たすことで、納税は「実質免除」になります。

本制度を利用することで納税が実質免除となることから、事業承継における税負担が無くなり事業承継がスムーズに行われ、事業承継時における「後継者不足による黒字倒産」等の問題が解決されることが期待されました。

しかし、実際本制度の利用を検討していく上で

  • 制度が分かりにくい
  • 制度の手続きが煩雑

などの声が上がり、実際の目的に沿った運用がされていないのが現状です。

これらの声を勘案し、2009年の制定後何度か改正が行われましたが、利用要件は低調推移にあります。

本制度のメリットの大きさが注目されていますが、実務に沿ってみると使い勝手が悪い等のデメリットもあることをしっかり認識する必要があります。

事業承継税制のデメリット

事業承継税制を利用した場合のデメリットとして挙げられるのは、以下の3点となっています。

  • 制度が複雑
  • 手続きが煩雑
  • 猶予打ち切りの可能性

それぞれについて詳しく説明していきましょう。

制度が複雑

制度そのものを利用したくても「制度の内容が分かりにくい」ことが本制度の利用を妨げている原因となっています。

適用を受けるための要件が特に分かりにくく、自分が本制度の利用要件に合致しているのか判断がしにくいのが現状です。

例えば、事業承継税制を受けるための要件は以下の全てを満たしている必要があります。

<事業承継税制の適用要件>

  • 一定期限までに都道府県知事の認定を受ける必要がある
  • 後継者は一定時期において会社の代表権を持ち、かつ議決権の過半数を保有している必要がある
  • 会社は非上場の中小企業であり、かつ総収入金額及び従業員数が0ではなく、かつ風俗営業会社や資産管理会社ではない必要がある
  • 猶予金額に見合う担保を提供する必要がある
  • 先代の経営者は会社の代表権を持ち、かつ事業承継直前において議決権の過半数を保有している必要がある。

制度そのものの複雑さから、メリットよりも面倒な点が先行し、利用を妨げる結果となっています。

手続きが煩雑

事業承継税制をいざ利用しようとなっても、利用するための手続きが煩雑なのも、本制度があまり上手く活用されていない原因の一つでしょう。

例えば、相続において現在の事業承継税制の適用を受けるためには以下の手続きを行う必要があります。

  • 特例承継計画を都道府県庁に提出する必要がある
  • 後継者が自社株式を相続する必要がある
  • 相続開始の日以降8ヵ月以内に都道府県知事から円滑化法の認定を受ける必要がある
  • 相続開始の日以降10ヵ月以下に相続税の申告書を税務署に提出する必要がある
  • 年次報告書や継続届出書を年に1度、都道府県知事および税務署に提出する必要がある

尚、実際には確定申告書や遺言書、遺産分割協議書等の提出も求められることから、遺産分割協議が難航する場合は、期限内に提出が出来ない等の可能性も出てきます。

事業承継税制を利用するためには、円滑な相続が行われなければいけないのです。

猶予打ち切りの可能性

実は以下の要件を満たせなかった場合は、制度を受けている最中であっても猶予が打ち切りになる可能性があります。

  • 承継後5年間以内に後継者が代表者では無くなった場合
  • 会社が資産管理会社に該当した場合
  • 会社が解散した場合
  • 会社の年間収入が0になった場合
  • 継続届出書の提出を怠った場合
  • 後継者が取得した自社株を他人に譲渡した場合

万が一猶予打ち切りとなれば、猶予期間に対応する利子税を含め一括で猶予税額を納税する必要があります。

会社解散の場合や売上が0になっている場合は会社の運営が不能となっていることが多いため、資金不足に注意が必要です。

ただし、業績悪化に伴う事業承継税制の打ち切りについては、納税額の減免も用意されているため、一度税務署に相談してみることをおすすめします。

まとめ

  • 事業承継税制は事業承継時の納税負担を軽減するために創設された
  • 事業承継税制は制度内容が分かりにくく手続きが煩雑
  • 事業承継税制の要件を満たせなくなった場合猶予が打ち切りになる可能性がある

事業承継税制は上手く利用できるのであれば税負担が大幅に削減されることからメリットが大きい制度となっています。

しかし制度内容や手続きが煩雑であることから、経営者が自ら制度の利用を受けるのは困難な点が多いです。

もし顧問税理士がいるのであれば、事業承継相談と共に本制度の利用が可能かどうか相談してみるのが良いでしょう。

要件に該当するのであれば、事務手続きを税理士に代行してもらうことも可能なので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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