「会社を廃業したいけどデメリットはある?」
「どのようなケースで、会社を廃業・清算したらいいか判断できない」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、会社を廃業や清算するか検討する場合、考えられるメリットとデメリットを総合的に勘案した後決定することが求められます。
その上で税理士などの専門家に助言をもらうことも検討しておくことが大切です。
今回は、会社の廃業・清算のメリットとデメリットについて解説していきます。
【目次】
廃業・清算のメリット
廃業・清算を行った場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
- 会社の経営を終わらせられる
- 一定の資産が残せる可能性がある
以上の2点がメリットとして挙げられます。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
会社の経営を終わらせられる
廃業のメリットとして、確実に会社を終わらせられるというメリットがあります。
廃業出来る=弁済出来ない負債が残らない、という事を意味しているので、誰にも迷惑をかけず会社をたたむことが出来ます。
関係者に迷惑を最小限に抑えられるという点が廃業する最大のメリットと言えるでしょう。
また、経営の負担から解放されるメリットもあります。
資金繰りや従業員の雇用など、今まで頭を悩ませていたことから一気に解放されるのも経営者にとって廃業を選択する理由になっています。
休眠会社と違って廃業が完了したら税務申告ももちろん不要になります。
一定の資産が残せる可能性がある
また、破産と違い相殺する負債がない前提での話ですので、手元の資産は一定程度残すことが可能です。
会社にキャッシュが残っている場合、納税等支払いを済ませた後は株主の間で分配が行われます。
中小企業の経営者は、ほとんどが自社株を保有していることが多いので、会社に資産が残れば、廃業後も一定の資産を残すことが出来ます。
廃業・清算のデメリット
逆に廃業・清算した場合にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
- 従業員を解雇しなければならない
- 取引先が不利益となる可能性がある
- 負債を負う可能性もある
以上の3点が廃業の主なデメリットです。
それぞれについて詳しく説明していきましょう。
従業員を解雇しなければならない
経営者にとって廃業・清算する時に一番気にかかるのが「従業員」の存在ではないでしょうか。
廃業・清算する場合は会社そのものが無くなりますので、今まで雇用していた従業員は全員解雇する必要があります。
従業員の雇用だけはどうにかしたいと考えている経営者は、そもそも廃業・清算を行う選択が間違っている可能性があります。
例えば、事業そのものを誰かに売却する「M&A」や、従業員から会社を引き継ぐ人材を探す「事業承継」等、廃業・清算以外の方法を検討する必要があります。
取引先が不利益となる可能性がある
会社を運営していく以上、取引先は必ず必要になります。
もし、メインで取引してきた会社が廃業・清算するとなれば、同じような取引をしてくれる会社を新たに探さなければいけません。
一つの会社が急に廃業したら、取引先の収益に大きな影響を与えることになるため、無計画な廃業は取引先に多大な迷惑をかけることになります。
やむを得ない理由で廃業を選択しなければならない場合、なるべく早い段階で取引先へ通達を行えるように心がけましょう。
早めに連絡することで、取引先の不利益を大幅に削減出来ます。円満な取引解消に努めることも大切です。
負債を負う可能性もある
もし会社に相殺出来ない負債があり、代表者に連帯保証が付されている場合、もしくは担保として金融機関に取られている場合は、廃業後に代表者がその負債を負う可能性が高いです。
預金で相殺できなかった債務は、担保の処分によって債務を相殺し、それでも残った場合は連帯保証人への請求となります。
中小企業の資金調達では、会社の代表者が連帯保証人として徴求されるケースが多いので、会社の債務が残る場合は注意が必要です。
もし、相殺出来ない債務が返済出来ない程残るのであれば、廃業ではなく破産という選択も考えなければいけません。
まとめ
- 急な廃業は取引先に不利益が生じる可能性が高い
- 廃業する場合従業員は全員解雇しなければならない
- 連帯保証人である経営者に負債が残る可能性がある
特に負債が残る場合の清算については十分注意しなければなりません。
仮に経営者の自宅が事業資金の担保に取られているケースでは、不動産が競売にかけられ強制的に返済に充てられることもあります。
資金繰りが回らず事業を停止する場合においても、十分な検討をしなければいけません。
廃業・清算をする場合は、極力専門家である税理士に相談して下さい。
本当に廃業という選択肢が正しいのか、それ以外に良い方法がないのか、専門家の意見を聞いてから判断しても遅くないのではないでしょうか。