「自分が副業するよりも専業主婦である妻を社長にした方が節税出来る?」
「妻を社長にするデメリットは?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、妻を社長にして事業を行うことで所得税を大幅に減額出来る可能性があります。
ただし、妻を社長にしていながら売上金が夫に流れている等、手続きを間違えると脱税を疑われる可能性もあるため注意が必要です。
今回は、妻を社長にして節税する方法と注意点について説明します。
【目次】
妻を社長して節税する
副業しているサラリーマンは、妻を社長にすることで以下のメリットを受けることが出来ます。
- 副業がバレる心配がない
- 累進課税制度の対象とならず、税金を軽減出来る
副業している場合、会社にバレてはまずい人も多いのではないでしょうか。
妻を社長にして妻が事業を行えば夫の副業ではなくなりますので、万が一会社にバレても問題はありません。(事業の売上は妻に入ります)
また、日本の所得税制度は累進課税制度をとっているため、所得が増えるに連れ税率が高くなっていることから、副業収入の割合が大きければ大きい程税金が高くなってしまいます。
つまり、本業+副業であれば、給与収入と総合課税されることで所得税が高くなってしまいます。
しかし、妻を社長にする場合は妻の所得が増えるだけですので、自分が副業をするケースより税金が低くなります。
以下の例を参考にしてみて下さい。
【累進課税制度】
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
出展:国税庁ホームページ
- 夫が本業+副業の場合
例えば、夫の本業の給与が年間500万円ある人が、副業で500万円の所得を得ていた場合の課税所得は1,000万円になります。
単純に計算すると
10,000,000×33%-1,536,000円=1,764,000円(所得税)
※その他条件について考慮しない
- 夫と妻にそれぞれ収入がある場合
夫の本業の給与が年間500万円、妻が社長で事業を行って所得と500万円得ている場合の課税所得はそれぞれ500万円ずつになります。
・夫の場合
5,000,000円×20%-427,500円=572,500円
・妻の場合
5,000,000円×20%-427,500円=572,500円
合計で1,145,000円(所得税)
夫が本業+副業している場合は1,764,000円の所得税が課税されていますので、約60万円程度は税金が低くなる計算になります。
このように、妻を社長にすることで節税することが可能になります。
妻が社長になるメリットを受けるためには
妻が社長になって節税メリットを受けるためには以下のケースであることが求められます。
- 妻が専業主婦(無収入)
- 妻がパート(大きな収入がない)
基本的な考え方として、夫が本業と副業をしているよりも、収入が無い妻の所得とすることで節税が出来るというものですので、もともと妻にしっかりとした収入がある場合は大幅な節税は見込めない可能性が高いです。
妻を社長にするデメリット
妻を社長にするデメリット
- 決算報告(確定申告)が必須
- 経理勘定が面倒
などが挙げられます。
ただし、これらは自分が副業として事業を行っていても必要な手続きですので、事業の主体が妻に移っても同じ事です。
尚、決算業務は事業が大きくなるにつれ複雑になります。
もし今後事業を拡大していく予定がある場合は早めに税理士などの専門に依頼しておくことが望ましいです。
妻が社長になっても扶養に入れる?
例えば、妻が夫の副業を譲受し個人事業主として経営を開始したとしても、年間103万円以下でしたら夫の扶養に入って配偶者控除を受けることが出来ます。
また130万円以下でしたら、サラリーマンである夫の社会保険に入れるので保険料の支払いを節約することも可能です。
税金や保険料には一定の所得以下であれば免除や減額制度を利用できます。
逆に言えば、一定の所得を超えて課税されると手取りが減ってしまうことから、所得を上手く調整することも必要です。
この税金や会計のバーについては複雑になりますので、一度税理士に相談されることをおすすめします。
妻が社長なって節税する場合の注意点
妻が社長になって節税したい場合でも、事業の主体が夫から全く変わっていない場合や、売上金が一部夫に流れている等した場合は脱税となる可能性があるため注意が必要です。
妻を社長にするのであれば、あくまで事業の主体は「妻」になることを忘れてはいけません。また、所得隠しと思われるような資金の流れになることは避ける必要があります。
税務署に目を付けられないように節税をする場合は、一度お近くの税理士に相談することをおすすめします。
確定申告手続き等も一任出来るので、「会計については全く分からない!」という妻にとっても安心できるのではないでしょうか。
まとめ
- 妻を社長にすることで所得の分散が可能
- 妻を社長にしても扶養控除や夫の社会保険に入ることも可能
- 妻を社長にする場合税務署に目を付けられないよう税理士に相談する
事業をきちんと行っていきたいのであれば、事業規模の大小に関わらず税理士に相談することをおすすめします。
事業を行うということは確実に納税する義務が生じます。いくら節税のためとは言え、過度な節税は脱税とみなされる可能性も高いです。
まずは税理士の無料相談会等を利用して、事業運営に問題が無いか確認した上で手続きを行うようにしましょう。