「雑損控除って何?」
「住宅が災害によって半壊したけど雑損控除は受けられる?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、雑損控除は「住宅」「災害」「人間の行為による損害」など、様々な理由により損害を受けた場合、その損害の程度にあわせて所得控除を受けられる制度です。
一般的に雑損控除の中身は知られていないことも多く、所得税の軽減が図れるのにも関わらず申請していない人も多いです。
雑損控除についてしっかり学んで、要件に当てはまる場合は申請するようにしましょう。
そこで今回は「雑損控除とは何か?住宅が被害を受けた場合など様々なケースに対応できる?」をテーマに解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
雑損控除とは
雑損控除とは、火事や地震、害虫による被害など「自然災害」や「生物」「人間」の行為によって引き起こされる災害で損害を受けた場合に適用できる所得控除です。
その他にも、「盗難」「横領」なども雑損控除の対象となります。
詳しく説明していきましょう。
雑損控除の対象となる損害
雑損控除の対象となる損害は、以下のいずれかの場合に限られています。
いずれにも該当しない場合は雑損控除を受けることができません。
【雑損控除の損害】
(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3)害虫などの生物による異常な災害
(4)盗難
(5)横領
盗難や横領は対象となりますが、「詐欺」「恐喝」その他の犯罪行為による損害は雑損控除の対象とならないことに注意しなければなりません。
雑損控除の対象となる資産
雑損控除を受ける場合、対象者にも制限があります。
【雑損控除の対象者】
・納税者または納税者と家計を一にする配偶者や親族で、かつ総所得金額が48万円以下であること
また、雑損控除を適用するには、対象資産に該当する必要があります。
【雑損控除の対象となる資産】
・棚卸資産、事業用固定資産等以外
・生活に通常必要な資産
雑損控除の計算方法
雑損控除によって控除される金額は以下の計算式を用いて計算します。計算後、いずれか多い金額が雑損控除として認められます。
①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
※差引損失額 :損害金額の合計から保険金で補填された金額を控除した金額
※損害金額 :損害直前の時価。再調達価格から使用年度による償却分を控除した金額
※災害関連支出:災害により被害を受けた住宅の取り壊しや撤去費用。修繕費用の事。
雑損控除を受ける方法
雑損控除を受けるためには、確定申告する必要があります。
会社員の場合は、通常勤務先で年末調整を行ってもらえるため確認申告をしないですが、雑損控除は他の所得控除とは違い年末調整で申請ができないため、会社員であっても確定申告しなければなりません。
尚、確定申告する際には損害の証明書を添付しなければなりませんので注意して下さい。
【必要書類】
・罹災証明書:災害による損失を受けた場合、それを証明するために発行される
・被害を受けた建物詳細:建物の登記簿謄本や固定資産税明細書など
・被害を受けた家財/車両詳細:取得価額や購入時期などが分かる書類(領収書)など
・修繕費などの明細:取り壊し費用や撤去費用、修繕費など支出した場合の領収書など
・補助金を受けた場合:保険金や補助金を受けた証明や銀行口座通帳コピーなど
また、災害などに関連して支出した経費に関しては領収書を添付することで雑損控除をうけることができます。
雑損控除と災害減免法
実は災害により住宅が被害を受けた場合などは、雑損控除を利用しないで災害減免法を利用した方が所得税の軽減を図れる可能性が高いです。
【災害減免法による所得税の軽減免除額】
所得金額 | 軽減又は免除される所得税の額 |
---|---|
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1,000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
災害減免法による所得税軽減は、年間の総所得が1,000万円を超えてしまうと適用が出来ません。
その場合は雑損控除を受けるようにしましょう。
災害減免法は住宅や家財が損害を受けた場合のみ
雑損控除の場合は、日常生活を営む上での住宅・家財・衣類・現金などが損害を受けた場合に適用できるため、災害減免法よりは範囲が大きいものになります。
災害減免法は、住宅や家財が損害を受けた場合で、かつ、その損害額が住宅または家財の時価額の2分の1以上であることが要件になります。
その代わり、雑損控除が所得控除の一種であるのに対して、災害減免法は所得税が全額免除される可能性があるなど効果が高いものとなっています。
尚、災害減免法により所得税額の減免を行う場合は、損害金額を記載した確定申告を提出しなければなりません。その際には損失額の明細が必要になるため、必ず添付するようにしましょう。