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相続時精算課税を介護に活用

相続時精算課税を介護に活用

一人残された高齢の親の在宅介護が難しくなり、介護施設の入所資金を捻出するため、自宅を売却することがあります。

しかし、親が認知症になると売買契約を行うことが困難になります。

そこで認知症になる前に自宅を売却する方法の一つとして、子供が自宅の贈与を受け、その後、自宅を売却して介護施設の入所資金を確保することも検討可能です。

【目次】

認知症対策としての相続時精算課税贈与

自宅の贈与には相続時精算課税贈与を利用します。

2,500万円まで控除され、残額に20%の定率課税となるため、贈与税を圧縮できます。

将来、相続が起きた時は、あらためて相続税として課税され、先に納付した贈与税は受贈者の相続税額から控除して精算されます。

さらに相続財産の価額が基礎控除額(3,000万円+相続人1人当たり600万円)の範囲に収まる場合には相続税は課税されず、先に納付した贈与税の全部または一部が還付されます。

相続時精算課税の留意点

受贈者が自宅を売却した場合の譲渡所得の計算では、贈与者である親の取得価額を引き継ぎますが、子の居住用不動産でなければ譲渡所得に3,000万円控除を受けることはできず、譲渡所得税の負担が大きくなるほか、翌年の国民健康保険料や介護保険料などが増加することにも留意します。

また、相続時精算課税は、一度選択したら暦年課税に戻ることはできませんので、毎年、贈与を受けるたびに、相続時精算課税贈与としての申告が必要となります。

相続時に小規模宅地の特例の適用を受けることもできません。

親に対する贈与課税はあるか?

子供が親の介護施設の入居一時金や施設利用料を負担することが、子供から親への贈与課税となるか問題となります。

この場合、扶養義務者間で生活に通常、必要な資金を贈与することは非課税とされますので親に介護施設の入所資金等を負担する資力がなく、介護のために負担する費用であれば非課税の扱いを受けることができるでしょう。

反対に介護に必要な水準を超え、老後生活を楽しむための豪華な施設の入所資金を負担するような場合は、子供から親への贈与課税が生じる可能性がでてきますので注意を要します。

そして、何より大切なことは、親が長年慣れ親しんだ自宅を売却し、子供に自身の生活を託すことへの信頼構築にあるのかもしれません。

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