「決算書に記載する固定資産について詳しく知りたい!」
「固定資産にはどのようなものが計上される?」
このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、固定資産とは1年以内に現金化出来ない資産のことを言います。
もちろん中にはすぐに現金化出来るようなものもありますが、会計法上固定資産として計上しなければいけない科目があるのは事実です。
それらについてしっかり理解しておくことで決算への理解も深まります。
そこで今回は固定資産をテーマに解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
決算における固定資産とは
会計上資産とされるのは
- 流動資産
- 固定資産
- 繰延資産
以上の3つに区分され決算書の貸借対照表に記載されます。
これらは、それぞれの資産の性質ごとに区別され、固定資産は「1年を超えて現金化もしくは費用化される資産」とされます。
固定資産が決算書上に表示される金額は原則取得価格を基にした評価額です。
固定資産は、時間と共に価値が減価される資産(減価償却資産)もあり、毎期決算期に減価償却が行われることとなります。
減価償却資産は、取得価格から毎年一定の償却率を乗じて、その資産の価値が1円になるまで減価し続けます。
また、減価償却は毎年費用といて計上されます。
尚、固定資産は「土地、減価償却資産、その他の資産」で形成されています。
固定資産と流動資産の違い
固定資産と流動資産の大きな違いは、現金化しやすいかどうかという点です。
流動資産は1年以内に現金化出来る資産のことを言います。
つまり、「現金」「在庫」「商品」「売掛金」などがこれらにあたります。
もちろん、実際の事業運営では1年を超えても現金化出来ない資産があるのも事実です。
しかし、会計上正常な営業サイクルで1年以内に売却できるものは流動資産として計上されますので注意が必要です。
つまり、販売目的の資産は原則固定資産にはなりません。
例えば自社保有の「土地」は一般的に固定資産として計上されますが、不動産業者などが販売用土地として保有している「土地」は在庫として流動資産計上されます。
固定資産の種類
固定資産には
- 有形固定資産
- 無形固定資産
- 投資その他の資産
の3つに区分することとなります。
それぞれ詳しく説明していきましょう。
有形固定資産
有形固定は「形があり、実際に目に見える」資産のことをいいます。
具体的な例を挙げると
- 建物
- 土地
- 車両
- 機械装置 など
が当たります。
尚、有形固定資産は「減価償却資産」と「非減価償却資産」に区分されます。
減価償却資産は、年月が経つと価値が下がっていく資産のことで、減価償却の対象となる資産です。
- 建物
- 構築物
- 車両
- 機械装置 など
が当たります。
反対に「非減価償却資産」は「土地」など年月が経過しても原則価値が変化しないものを言います。
決算上は原則取得原価を貸借対照表に表示することとなります
無形固定資産
無形固定資産とは、有形固定資産の反対で「形が無く、目に見えない」資産のことです。
代表的な例を挙げると
- 特許権
- 営業権
- 借地権
- ソフトウェア など
以上のような「権利」や、パソコンにインストールして利用するソフトウェアなどが無形固定資産にあたります。
尚、無形固定資産も「減価償却資産」と「非減価償却資産」に区別されます。
特許権やソフトウェアなどは、技術の進歩などにより価値が経年劣化すると考えられることから減価償却資産に該当します。
逆に借地権など資産の減価が関係ないものは非減価償却資産として計上されます。
投資その他の資産
投資その他の資産とは
- 投資を目的とした資産
- 流動資産や固定資産に該当しない資産
などに区分されます。
具体的な例を挙げると
- 投資有価証券
- 長期前払費用 など
が挙げられます。
固定資産と減価償却
固定資産の内減価償却資産は、毎期決算ごとに減価償却を行う必要があります。
減価償却には
- 定額法
- 定率法
の二つの方法があり、計算方法は減価償却資産によって選択することができます。
尚、無形固定資産は定額法のみ適用できます。
定額法
定額法とは毎期一定の金額を減価償却する方法を言います。
例えば500万円の資産を5年で償却する場合、1年間の減価償却費は100万円となり、決算期の固定資産は400万円(500万円-100万円=400万円)となります。減価償却費はその年の損益計算書上の経費として計上されます。
定率法
定率法とは、毎期一定の償却率を乗じて減価償却する方法を言います。
例えば500万円の資産を0.334で償却する場合、1年目の減価償却率は167万円となり、決算期の固定資産は333万円(500万円-167万円=333万円)となります。同様に減価償却費はその年の損益計算書上の経費として計算されます。
定率法は定額法と違い、償却率によって計算されることから当初の償却負担が重く、年々償却負担が減少していくこととなります。
尚、定額法と定率法どちらを用いるにしても固定資産ごとの耐用年数に合わせて償却する必要があります。
定率法の償却率も耐用年数によって変化しますので確認するようにして下さい。