「中小企業におけるM&Aはどのような流れで進んでいく?」
このような疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、中小企業がM&Aを行うためには、全部含めて14つの手続きが必要になります。
今回は中小企業におけるM&Aの流れについて解説します。
【目次】
中小企業がM&Aを行う時の流れ
中小企業がM&Aを行う場合は、以下のように進んでいきます。
今回は売手側の立場で記載していますが、買手側でもおおよその流れは変わりませんので参考にして下さい。
- M&Aの意思確認
- 戦略の選定
- 専門家に相談
- 専門家と契約
- 売却先選定
- M&A打診
- 経営者同士の会談・交渉
- 意向表明書提示
- 基本合意書の締結
- 買収者のデューデリジェンス
- 条件交渉
- 最終契約締結
- クロージング
- 経営統合の実施
それぞれについて詳しく説明していきます。
M&Aの意思確認
M&Aを行う際の意思確認を行います。
意思確認では、自社における課題や事業の方向性、事業の目標などを正確にして、M&Aを行う理由を明確にします。
- なぜM&Aが必要なのか?
- 自社で対応は不可能なのか?
- M&Aを行うメリットだけでなくデメリットもあることを理解しているのか?
以上のような考えられるリスクを先手に潰しておくのが必要です。その上で最終的な意思決定を行う必要があります。
自己分析を深くすることで、M&Aへの取り組み姿勢や、成果も大きく変わってきます。
戦略の選定
意思確認が完了したらM&Aの戦略を選定します。
詳細に関しては事業者のみで考えるのではなく、この後契約するアドバイサリーと共に検討して下さい。
専門家に相談
中長期業がM&Aを検討する際は、一般的にM&Aの専門家に依頼して進めていきます。
M&Aにおいて買手側なのか売手側なのかによって相談の内容には違いが出てきますが、一般的な相談内容としては、M&A全般をサポートするアドバイサリー契約や、相手先企業の調査、選定基準、M&Aを行うメリットや目的の相談等幅広く対応してくれます。
専門家と契約
専門家と相談して、依頼したいと思った場合には専門家とアドバイサリー契約を結んでください。
アドバイサリー契約とはM&Aにおける相手先の選定から交渉のセッティング、助言などM&Aにおけるすべての業務についてサポートしてくれる契約となっています。
M&Aでは企業の機密情報も多く扱うことから、アドバイサリー契約を結ぶ際には秘密保持契約も併せて結ぶようにしましょう。
<秘密保持契約>
秘密保持契約とは、機密情報の漏洩を防ぐためには行われる契約です。秘密保持契約では以下のような内容が締結されます。
- 密保持契約の対象となり得る内容や期間を定める
- 秘密保持の義務を負うものを定める
- 情報漏洩時の損害賠償の可否を定める
- 秘密保持についての調査権限を定める
- 情報漏洩が問題になった場合の裁判所の管轄について定める
売却先選定
売却先は「ノンネーム資料」を基に選定を行います。
<ノンネーム資料>
M&Aの仲介業者から提供される資料。
相手先企業の「業種」「規模」「収益」等が掲載されているものの、企業名が明かされておらず企業の特定までは出来ない。
ノンネーム資料を基に売却先の選定を行い、相手の条件等もすり合わせてM&Aを行うべきか検討します。
M&A打診
ノンネーム資料を基に買手企業の選定を行い、M&Aの打診を行います。
ここで注意したいのがアドバイサリー契約を結んだ時と同じように、身を明かして相手先に情報を与えることから、まずは秘密保持契約を結ぶことが大切です。
その上で詳細な情報を開示するようにしましょう。
経営者同士の会談・交渉
M&Aの打診が終わったら、具体的な買収検討のために経営者同士でトップ会談が行われます。
トップ会談は今後のM&Aにおける重要なプロセスです。
M&Aに至る様々な経緯が話されることとなります。
意向表明書提示
この段階で基本表明書を提示します。
基本表明書とは、買収方法や売買価格などが掲載されている書面のことです。
意向表明書を元にM&Aの詳細な内容について詰めていくこととなります。
基本合意書の締結
意向表明が終わったら、基本合意書の締結を行ってください。
基本合意書には以下の内容が記載されています。
- 買収条件
- 独占交渉権
- 守秘義務
- 誠実交渉義務
- スケジュール選択
尚、基本劫初の作成は必須ではありません。
買収者のデューデリジェンス
買収者によるデューデリジェンスが行われます。
<デューデリジェンス>
基本合意締結後に買手企業から売手企業の実態把握のために行われる調査
尚、デューデリジェンスは相手企業の帳簿等を確認する重要な機会ですので、必ず専門家に依頼するようにして下さい。
条件交渉
M&A後の「経営者」「役員」「従業員の雇用」「処遇」「契約までのスケジュール」などの条件をすり合わせします。
ここで決めた内容を元にM&Aを行いますので、明確な条件提示が求められます。
最終契約締結
最終的な売却価格が決まった後、そのほかの条件が無ければ最終契約へと進みます。
最終契約締結時には譲渡内容と売買価格が決定しており、既に明記されていることが一般的です。
クロージング
M&Aのクロージングは、買手企業から売手企業へ譲渡資金が渡った後、最終的な手続きを経て全て終了することになります。
最終的な手続きでは
- 経営者の個人資産の買取
- 株券の引き渡し
- 会社代表印の引き渡し
等が挙げられます。
経営統合の実施
全ての手続きが終わりましたら、M&Aが完成します。クロージングした後は、経営統合後の調整が必要になります。
具体的には
- 基本方針
- 経営方針
- 相乗効果による目標の展開
- 従業員融和
- 社風のすり合わせ
等です。
経営者にとって最も大切な手続きですので、確実な対策が求められます。
まとめ
- M&Aにおいては、目的感を定めることが重要
- M&Aにおいて、相手企業の価値をしっかり見極めることが必要
- クロージング後の企業融和もM&Aにとって重要な業務
以上の14の手続きは、M&Aの専門家に依頼して進めていくことが重要です。
M&Aは簡単には成功しません。
成功率を上げ、M&Aのリスクを下げるためにも専門家に依頼して一つ一つ確実に手続きを踏んでいく必要があります。