スポットワーカーが広まる背景
「スポットワーカー」に法律上の明確な定義はありませんが、「ギグワーカー」や「プラットフォームワーカー」等と同様に、単発でかつ短時間で仕事を行う働き手の総称を指します。
「スポットワーカー」について、より噛み砕いた表現をすると、スマートフォン等を利用して、スキマ時間を使ったアルバイトをする人が該当します。
近年、これらの働き手が増加した理由は、働く側から見ると、デジタル技術の進化や就業ニーズの多様化等が挙げられるでしょう。
また、企業がこれらを利用する理由には、慢性的な人手不足の中で、特に繁忙期での人手の確保や急な欠員の補充が可能になること等が挙げられます。
スポットワーカー利用時の留意点
「スポットワーカー」に法律上の明確な定義がないということは、企業と働き手との間での契約も、双方の認識が曖昧なまま締結され、後のトラブルにつながりかねません。
トラブルになる要因の1つが、企業側に、「業務委託契約」としておけば、労働関係法令上の責任を負うことはない、というある種の誤解があることです。
各種労働関係法令上の対象となる「労働者等」に該当するかどうかは、契約の名称や形式にかかわらず、客観的に見て、「企業の指揮監督下での労働であるか」、「対価となる報酬の労務対称性はどうか」等によって総合的に判断されます。
特に注意したいケースとしては、店舗や工場で「急な欠員が出て、直近のシフトが埋まらない」等の理由で、突発的な人員補充のためにスポットワーカーを利用するケースです。
そこで働く多くの人が「雇用契約」を締結している現場で、「業務委託契約」でのスポットワーカーを一緒に働かせているような場合には、労働基準監督署などの調査では、その就労実態を見て「労働者性」を判断することになります。
従って、労働関係法令上の責任を回避する目的で、安易にスポットワーカーと業務委託契約による契約をしたケースでは、その実態が伴っていなければ、後に、思わぬ経営上のリスクが生じることも考えられます。
これらのリスクを回避するためには、自社での仕事の内容に合った契約を締結する必要があります。
それぞれの事情に応じた、正しい契約を締結しましょう。