令和4年1月4日に間に合わない
国税庁は令和3年9月21日、3年度税制改正で発表していたスマートフォンを利用した決済サービスを、4年1月4日からの開始としていたところ、4年12月に延期することを明らかにしました。
令和3年6月に、スマホアプリ納付を実現するために必要なシステムなどを構築する事業者の調達手続きを行ったところ、新型コロナウイルス感染症の中、デジタル投資の加速に伴うICT人材不足等もあり、入札者が現れず、事業者の決定に至らなかったようです。
地方税は先に導入が進んでいる
地方税を見てみると、各都道府県・市区町村によって取扱いの決済アプリの種類は異なるものの、スマホ払いで普通徴収の都道府県・市区町村民税や軽自動車税、国民健康保険料等が支払えるサービスが進んでいます。
利用できる決済アプリは自治体によって異なるものの、PayPay、LINE Pay、PayB、楽天銀行アプリ、銀行Pay(ゆうちょPay)、au PAY、FamiPayなど、多岐にわたります。
導入の数を見てみると、シェアの高いPayPayとLINE Payの採用が多いようです。
地方税でのスマホ決済の普及は令和元年10月に「地方税共通納税システム」が導入され、電子申告に加えて電子納税が可能になり、自治体の事務負担が軽減されたことも背景にあるようです。
IT人材の不足は深刻?
経済産業省の調査によると、令和12年にはIT人材の不足数が最大で79万人になるという試算が出ています。
これはIT業界の急成長、スマートフォンの台頭をはじめとしたIT技術の急速な変化、少子高齢化による人材不足等が原因とされています。
エンジニア不足への対策として、企業では採用年齢の引き上げや待遇改善を打ち出し、政府対応としては2年度から小学校でのプログラミング教育が必修化されましたが、現状国税のスマホ決済システムの構築に至れなかった事実があり、IT人材の不足は深刻なのかもしれません。
国税庁は税務行政のデジタルトランスフォーメーションを掲げていますが、解決すべき課題は外的環境にも多く存在しています。