「「節税」と「脱税」って何が違うの?」
「節税しようとしたら脱税になることもあるの?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、節税しようと思って行った事が、実は脱税とみなされてしまったなんて事もあり得ます。
脱税とは「本来認められていない方法で租税を回避すること」であり、「何が認められていて、何が認められてい無いのか」をしっかり判断出来なければ、悪意無く脱税とみなされることがあるからです。
今回は「節税」と「脱税」の違いについて解説します。
【目次】
節税と脱税の違いについて
「節税」と「脱税」の違いについて皆さんははっきり答えられますか。
<節税>
節税とは、税法で予定している範囲内で税負担を減少させる行為を言います。
具体例を挙げると、必要な経費を適正に計上したり、税額控除等国が用意した制度を使って課税される金額を少なくすることです。
<脱税>
代わって脱税とは、適切でない支払いを経費として控除したり、売上を過少申告したりして、課税される金額を少なくすることです。
なお、脱税には2つの方法があります。
- 支払うべき税金を隠している行為
- 本来認められていない行為で税金を減少させる行為
このうち、本来認められていない形で税金を減少させる行為を「租税回避」と言います。
「租税回避」とは、税法では明記されていない法律の穴をついて税金を減少させる行為で、不合理な取引形態を取っていることなどが挙げられます。
租税回避でよく行われるのが、例えば「同族会社」同士で売上や経費を操作する行為ですが、税法上「法律で明記されていないことに対しては税を徴収しない」という、いわゆる租税法律主義を取っているため、基本的にグレーゾーンとして認められています。
・支払うべき税金を隠している行為
→ペナルティの対象
・本来認められていない行為で税金を減少させる行為
→ペナルティの対象。ただし、税法上に明記されていなければ訴追されなない。
このように覚えておくと良いでしょう。
租税法律主義の具体例
例えば、以前までは海外に居住している人に対しては相続税が非課税とされていた時代がありました。
その際に、受贈者を海外に居住させた上で、多額の株式を贈与して贈与税を免れた事例があります。
この事例では、最終的に最高裁まで争われましたが、「法律に書いていない事に対しては課税されない」と最高裁が判断を下したことにより、結果的に税務署側の訴えを取り下げる結果となりました。
つまり、課税される法律がなければ、課税されることとは無いという判断を最高裁は下したのです。
一見するとずるいように感じるかもしれませんが、法律に書いていないことを信義上の理由で課税されるとなると、他に不都合が出る可能性も十分に考えられます。
そのため、税法上明記されていないことに関しては、原則課税の対象にはならないということになります。
脱税するとどうなるのか
「節税」とは違い「脱税」は犯罪に当たります。つまり脱税を行うと最悪のケースでは「懲役刑」となる可能性もあります。
「刑事罰」の対象である上、脱税した分に関しては「延滞税」に加えて、「加算税」が加わって追加納税する必要があります。
延滞税や加算税についてそれぞれ詳しく説明していきます。
延滞税
延滞税とは、本来納税すべき期限だった時から、脱税を指摘されて追加で納税する時までに加算される利子のような税金です。
延滞税は税務調査等で脱税を指摘された時以外にも
- 税金を期限までに納めなかった時
- 期限後申告をした時
- 修正申告をした時
にも課税されます。
加算税
加算税にもいくつか種類があるので確認していきましょう。
【過少申告加算税】
過少申告加算税とは、期限までに納付は終わらせたが、納税額が本来の納税額よりも少なかった時に加算される税金です。一般的には経費や売上の計算を間違えて修正申告した際に加算されます。
【無申告加算税】
報告期限までに申告しなかった場合に加算される税金です。
【不納付加算税】
源泉徴収額を納付期限までに納税しなった際に加算される税金です。
【重加算税】
事実を隠ぺいするなど、脱税が悪質であると判断された場合に加算される税金です。
加算税には以上4つの税金があります。
刑事罰
尚、脱税は刑事罰の対象となります。
確定申告書等を期限内に申告しない場合は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科となり、偽りその他不正の行為により課税を免れた場合には、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれを併科となる」とされています。
まとめ
- 「節税」とは税法上認められた方法で経費を計上する行為
- 「脱税」とは税法上認められていない方法で経費を計上したり、本来納税すべき税金を隠す行為等
- 「節税」で困ったら税理士に相談する
節税しようとしたら脱税になってしまったなんてことが無いようにしたいものです。
経営者自らが経費の計上等を計算するのも大切ですが、一度税理士に会計処理が間違っていないか確認してもらうことも大切です。
知らなかったでは税務署は脱税を許してくれません。脱税だと指摘されないように、正しい方法で納税をするようにしましょう。