「遺言書の通りだと自分への相続財産が0になってしまう」
「遺留分の主張は遺言書に対抗できるの?」
このような疑問や不安を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、遺留分を主張することで遺言書に対抗することが可能です。
しかし遺留分を主張するにはいくつか注意点があります。もし現在遺産分割協議で不公平感を感じている人は必ず確認するようにしましょう。
今回は、遺言書と遺留分の関係について解説します。
遺留分とは何か
遺留分とは、「相続人に与えられている最低限の権利」と覚えておくと良いでしょう。
複数人いる相続人のうち明らかに不公平な遺産分割が行われたとしましょう。
その中で「最低限これは私の権利としてもらう」と主張出来る部分を遺留分と言います。
そこで問題になるのが、遺留分と遺言書の関係です。
例えば、父親が死亡した際に、内縁の妻(婚姻関係に無い人物)に全ての遺産がわたってしまったとしたら、子であるあなたは著しく不公平であると感じるでしょう。
しかし仮に父親が「私の遺産は全て内縁の妻に与える」と遺言書を残していた場合はどうなるでしょうか。
詳しく解説していきましょう。
遺言書と遺留分の関係
遺留分に関して言えば「不公平」と感じるのは本人であるため、遺留分を手に入れるために家庭裁判所へ申し出をする必要があります。
逆に言えば、申し出が無ければ遺留分を受け取る事は出来なくなります。
遺留分は請求する権利であるため、利用しなければ意味がありません。
では、遺言書がある場合は遺留分の主張が出来るのでしょうか。
結論から言いますと、遺言書があってもその内容が著しく不公平である場合は遺留分の主張が出来るものとされています。
ただし、同様に「主張をしなければ遺言書の内容が優先」されることから、遺言書の通りに遺産分割されてしまうため注意が必要です。
遺留分を取得したい場合は「主張が前提」にあることを忘れないようにしましょう。
相続欠落者は遺留分が認められない
相続欠落者と呼ばれる人は遺留分が認められません。つまり、どれだけ不公平な遺産分割であったとしても、それに反対する主張をすることが出来ません。
相続欠落者とは以下のような人物を指しています。
- 被相続人や同順位以上の人を殺害し有罪となった
- 被相続人の殺害を知っていながら刑事告訴しなかった
- 遺言書を隠した
- 遺言書を処分した
- 被相続人に強制的に遺言書を書かせた
以上のいずれかに当てはまった場合、相続欠落者として扱われます。
なお、遺言書は被相続人の意思に基づき作成されたものでなくてはいけません。
強制的に遺言書を書かせた場合は「無効」となります。また、被相続人は何度でも遺言書の書き直しが出来ます。
なお、執筆当時に「強制的に書かされたもの」なのか「自分の意思で書いたもの」なのかは遺言無効確認の民事訴訟により認定される事となります。
遺留分の主張期限
遺留分は「相続人の権利を守る」ための権利ですので、もし遺産分割に不公平がある場合は、当然の権利として遺留分を主張できます。
遺留分の主張期限は相続発生した時から1年間です。
その間に相続人としての権利が侵害される可能性がある場合は家庭裁判所へ遺留分の主張を行うようにしましょう。
なお、遺留分に関しては誰かが教えてくれるものではありませんし、先述している通り主張しなければ権利を行使することは出来ません。
遺留分は「知っているかどうか」で大きく差が出る権利なので、これから相続手続きする人や、現在遺産分割しているという人は覚えておくようにしましょう。
相続や遺言書、遺留分について個別に相談したい人はお近くの税理士に相談することをおすすめします。
相続はケースによって対応が変わりますので、少しでも不安がある人は一度専門家への依頼を検討してみて下さい。
遺留分の割合
最期に遺留分の割合について紹介しておきましょう。
【遺留分の割合】
配偶者、子供、孫 | 親だけの場合 | 兄弟姉妹 |
---|---|---|
法定相続分の2分の1 | 法定相続分の3分の1 | 遺留分は無し |
遺留分は法定相続分とは違うという点に注意する必要があります。
例えば、配偶者と子供が1人いる人物が被相続人となった場合
・法定相続分
配偶者1/2、子供1/2
・遺留分
配偶者1/4、子供1/4
となります。
遺言書で「遺産は全額寄付して欲しい」と主張されていたとしても、配偶者と子供は自分の遺留分を主張することで1/4に関しては相続することが可能です。
まとめ
- 遺留分は遺言書に対抗できる
- 遺留分は相続開始から1年以内に主張しなければならない
- 遺留分や遺言書で困ったら税理士に相談する
遺留分について正しい理解をすることで、相続人は自分の権利を守ることが出来ます。
逆に遺留分を知らなければ、自分にとって不公平な遺産分割がされた時対抗出来ません。
主張するか否かは別として、遺留分については知っておいて損はないでしょう。
もし相続について不安や困ったことがある人は、お近くの税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
無料相談なども行っている場合があるので、是非一度検討してみて下さい。