「株式投資で赤字が出たけれど節税に利用できる?」
「株式投資の赤字は翌年に繰り越せるって本当?」
このような不安や疑問を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、株式投資で発生した損失は利益と相殺出来るため、節税に活用できます。
また相殺しきれなかった損失は、確定申告することで翌期以降に繰り越せるため、有効な節税方法と言えるでしょう。
しかし、利益相殺や繰越損失をする上で注意しなければいけない点もあります。
注意点を理解しておかなければ30万円以上損をしてしまうかもしれませんよ。
そこで今回は、株式の売却損で節税出来る仕組みと、売却損の活用方法や注意点について徹底的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
株式投資と税金
まず、株式投資でかかる税金は「利益として実現した場合」に課税されます。
つまり、評価益がどれだけ出ていたとしても、その株を売却して利益を確定しなければ税金はかかりません。
また、株式投資は1月1日~同年の12月31日までに得た利益と、損失を合算することが出来ます。
差し引きで利益の方が大きければ、税率20.315%が課税され、損失の方が大きければ税金はかかりません。
まずは、売却益と売却損は合算出来ることを理解しておきましょう。
売却損と配当金
次に、売却益から売却損を差し引いても損失が残る場合は、1月1日~同年の12月31日までに得た配当金とも合算することが出来ます。
具体的に計算してみましょう。
2022年の売却損が10万円、同年中に受け取った配当金(税引前)が30万円だった場合は、30万円-10万円=20万円が利益として課税所得となります。
配当金は受け取る時に20.315%の税金が源泉徴収されているため、確定申告することによって10万円分の税金が還付されることとなります。
この時、株式の配当金の課税方法は「申告分離課税」を選択することで、総合課税にするよりも還付金額が増えるなど有利になる場合があります。
具体的な計算は顧問税理士やお近くの税理士に相談することをおすすめします。
売却損と繰越損失
売却損を相殺してもなお残る場合は、確定申告することで翌年以降3年間損失を繰越することが出来ます。
繰越損失は、翌年以降の売却益や配当金と相殺することが可能です。
尚、証券会社の特定口座で株式投資している人は、特定口座で税金の納付は特定口座により証券会社が代理で行ってくれますが、損失を繰越ししたい場合はご自身で確定申告しなければいけない点に注意して下さい。
確定申告しなければ、損失分を翌年以降の利益圧縮に利用することは出来ません。
株式投資における含み損の損だしによる節税
株式投資で、含み損を抱えている株式をあえて期中に売却することで損を確定し、他の売却益が出ている株式と相殺することで節税することが出来ます。
先ほど説明した通り、株式は売却して現金化しなければ利益も損も確定しません。
そこで、既に確定している売却益が大きくなっている場合、期中に損出しすることで、今後発生しうるリスクを回避し、かつ支払うべき税金を圧縮が期待できます。
損だしと繰越損失の注意点
損だしすることで節税することが出来ますが、過去から繰り越してきた損失が切り捨てにならないかは考慮しなければいけません。
繰越損失は翌期以降3年間繰越することが出来ますが、その繰越損失は、期中の損失を相殺して、相殺しきれなかった時に利用出来ます。
具体的に説明すると
現時点(2022年)での売却損益が+100万円、損だしとして50万円の含み益がある株式を売却した場合、2022年の損益実績は+50万円となります。
仮に2019年からの繰越損失が80万円あった場合は、50万円-80万円=▲30万円となり、繰越損失のうち30万円が残ったままになってしまいます。
2019年からの繰越損失は2022年で繰越期限が来てしまうため、30万円が無駄になってしまうことになります。
損だしする場合は、そのタイミングや損失価格なども計算しながら上手に売却することで、お得に節税することが出来ます。
まとめ
- 株式の売却益と売却損は相殺できる
- 売却益と相殺しきれなかった株式の売却損は当期の配当金と相殺できる
- 株式の損だしは繰越損失があるかどうかを確認した後に行う
株主で売却損が出てしまった場合は、その売却損を上手く使って節税をするようにしましょう。
売却損は確定申告することで3年間繰越することが出来るので将来に向かって節税することが出来ます。
また、株式の売却損は現金化しないと確定しないことから、売却損を出すかどうかも自分の意志で決定することが出来る節税の手段です。
売却益が多く出てしまった年に合わせて損だしをするなど、上手に節税の手段として活用することをおすすめします。
具体的な税金の相談をしたい場合は、お近くの税理士事務所を訪ねてみるか、定期的に開催している無料相談会等を活用してみるのが良いでしょう。
専門家の話を聞きながら、節税方法について検討されてみてはいかがでしょうか。