税金基礎知識ブログ

M&Aにおけるデメリットを買手売手双方の視点から解説!

M&Aにおけるデメリットを買手売手双方の視点から解説!

「M&Aの想定されるデメリットについて知りたい」

このような疑問を抱えている人は少なくありません。

実は、メリットに注目されがちなM&Aにも注意しなければいけないデメリットが存在します。

デメリットについてしっかり把握することで、M&Aのリスクを大幅に下げられます。

今回はM&Aにおける想定されるデメリットについて解説していきます。

買手側のM&Aにおけるデメリット

M&Aにおける買手側の想定されるデメリットは以下のようなものです。

  • 売手企業と上手く融合出来ない
  • 想定したシナジー効果が得られない
  • 優秀な人材が出て行ってしまう
  • 簿外債務の発見

それぞれについて詳しく解説していきます。

売手企業と上手く融合出来ない

M&Aによって企業買収した後に考えられる問題としては、売手企業と上手く融合出来ないケースがあるという事です。

社風が違ったり、従業員への待遇が違ったりする企業同士が統合すると、企業が一体になるまでに一定程度の時間を有します。

文化の違いが露呈した時にいかにうまく対処するのかがM&Aを行う上で重要です。

想定したシナジー効果が得られない

両者間の溝が解消されない結果、想定していたシナジー効果が思うように得られないケースがあります。例えば、

  • 統合によりもともとの企業や部署により派閥が出来る
  • 考え方の違いから買手売手企業どうしで争いが起こるなど

必ずしも良い方向に進むわけではないという事を覚えておく必要があります。

優秀な人材が出て行ってしまう

企業買収の目的の一つとして優秀な人材の確保がありますが、M&Aで上手く会社をまとめられないことにより人材が出て行ってしまうケースがあります。

M&Aを行うことで

  • 雇用条件
  • 待遇
  • 役職

等が変化することが十分に考えられます。

雇用条件が変化することにより優秀な人材が流出する可能性があるため、事前に将来ビジョンや待遇についても話し合いの場を設けることが大切です。

また、待遇が変わらなくても社内の派閥争いやいざこざなどによる人材流出も考えられるため、双方の経営者は企業融和に真剣に取り組むことが求められます。

簿外債務の発見

M&Aにおいては簿外債務についても注意する必要があります。

簿外債務とは、貸借対照表上に記載されていない債務のことで、M&Aの交渉時、もしくはM&A後に発覚し問題になるケースが多いです。

例えば、訴訟などの結果により今後債務が発生するリスクを背負っている等、現在では確定していない債務に関してもしっかり把握しておく必要があります。

売手側のM&Aにおけるデメリット

M&Aにおける売手側の想定されるデメリットは以下のようなものです。

  • 買手が見つからない
  • 買収企業文化と上手くいかない
  • 雇用条件の変更
  • 取引先の反発

それぞれについて詳しく解説していきます。

買手が見つからない

売手企業は自分の会社を売却するため、出来るだけ高値で買い取ってくれる企業を探します。

しかし、売却金額が高ければ買収企業も出てこなくなります。

結果、買手が長期間見つからずM&Aが上手く進まないケースが散見されます。

M&Aにおける企業評価は「将来的にどれだけ収益を上がられるか?」という点に重点が置かれています。

つまり、現在利益が出ていても、それが継続して得られない(一過性のもの)であると判断されれば、企業価格は下がります。

M&Aはモノの売買とは違い「時価」ではなく「企業価値」の判断となることから、時価での判断をしてしまうと買手が全く見つからないという可能性も十分考えられる点に注意して下さい。

買収企業文化と上手くいかない

買収された企業にとっては買収先の企業文化との融合に時間がかかり、社内が混乱するケースも散見されます。

また、今まで使っていたシステムを全て買手企業のシステムに買える必要があるケースもあり、売手企業側は買収企業の文化と上手く融和出来ない可能性も想定されます。

雇用条件の変更

M&Aは従業員の雇用条件が変わる可能性があります。

今までの給料から下がるケースも多く、従業員のモチベーションが失われる場合もあり、事前に雇用条件をすり合わせるなどの対策を講じる必要があります。

取引先の反発

買収によって担当者が変わったり、長年の取引ある会社から反発を招いたりするケースがあります。

最悪の場合契約を打ち切られることも考えられます。

M&Aをする際は取引先の関係性も企業評価の一つとして扱われます。

実は、取引先欲しさにM&Aをするケースも少なくありません。

そのため、M&Aをする場合は取引先から反発を受けないように、自社の担当者は変えない、買収先企業の企業名は変えない等地道な対策を講じる必要があります

まとめ

  • 買手企業にとって「買収先と企業融和が出来ない」「人材流出」などのデメリットがある
  • 売手企業にとって「雇用条件の反発」「取引先の反発」などのデメリットがある

M&Aを行う上ではデメリットとなり得るリスクをしっかり把握し、対処していく必要があります。

メリットばかりに注目されているM&Aですが、メリットだと思っていた人材や取引先の獲得は、しっかり対策しなければM&A後に離れていく可能性も十分あります。

双方の経営者はM&Aが上手く行くようにしっかり対策を講じる必要が求められます。

M&A相談は税理士など専門家にすることをおすすめします。

注目記事 最新記事
  1. 副業が事業所得となる基準
  2. 個人の青色承認取消しと期限後申告
  3. 大企業向け賃上げ促進税制のマルチステークホルダー経営宣言とは
  4. M&Aにおける失敗事例について
  5. 事業再構築補助金交付決定者必見! 産業雇用安定助成金
  1. 年の中途に退職した人の年末調整
  2. 保険料控除証明書の到着は必要な保険か否かを見直す好機です
  3. 採用と健康状態の調査
  4. 見落としがちな「逆パワハラ」
  5. 不法就労助長とリスク

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP