「相続税はいくらからかかるの?」
「相続税はどうやって計算する?」
このような疑問や不安を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、相続税がいくらかかるのかどうかは、「基礎控除」と「法定相続分」について知っていれば意外と簡単に計算出来ます。
もし相続税がかかるとなれば、確定申告して納税する義務が生じます。
納税は確実に行わなければならないので、いくら相続財産があれば税金が生じるのかという点についてはきちんとした知識を持っていなければなりません。
今回は、相続税がいくらからかかるのかについて解説していきます。
【目次】
相続税は3,600万円以上からかかる
結論から言いますと、相続税は「相続財産が3,600万円以上」の場合に必要になります。
相続税には3,600万円まで税金がかからない「基礎控除」があり、3,600万円の範囲内であれば基本的に相続税について心配する必要はありません。
【ポイント!基礎控除】
相続財産-基礎控除(3,600万円)=課税価格
なお、相続財産は必ずしも現金だけではありません。
- 不動産
- 有価証券
- 高価な品
以上に該当するものも相続財産となります。
基本的に価値があるものは全て相続財産であると考えておいた方が良いでしょう。
相続財産が全て現金であれば、3,600万円の基準を超えるかどうか判断するのは簡単ですが、不動産や有価証券においては、その価値がどの程度あるのかを先に調べる必要があります。
価値の判断は何かしらの基準を持って行う必要があります。
例えば、去年1億円で買った家を「この家の価値は100万円!相続税はかからない!」と勝手に判断することは出来ません。
価値の判断を誤ると相続も正確にできませんので、税理士などの専門家に依頼するなど対策をする必要があります。
相続財産が3,600万円を超える人は、日本全体で約8%と言われております。
まずは3,600万円という基準に自分が該当するかどうかを確かめてみましょう。
3,600万円以上でも相続税がかからない方法
実は、3,600万円以上相続財産があっても相続税がかからない方法があります。
先ほど紹介した基礎控除は以下の方法で算出されています。
相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数が増えることによって相続税の基礎控除の範囲が上がっていきます。
【相続税の基礎控除】
法定相続人の数 | 相続税の基礎控除 |
---|---|
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
– | 以降、1人増えるごとに600万円ずつ増額 |
法定相続人とは
法定相続人とは「民法で定められた相続人」のことを指しています。
【法定相続人】
第1順位 | 子供 |
第2順位 | 親 |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
なお、配偶者に関しては、生きている限り必ず法定相続人となるため順位には入っていません。
配偶者以外の法定相続人に関しては、順位の高い順に法定相続人となります。
つまり、被相続人に配偶者と両親と子供がいた場合は、配偶者と子供が法定相続人になり両親は法定相続人にはなれません。
逆に子供がいない場合は、配偶者と両親が法定相続人となり、両親も既にいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。
法定相続人が相続放棄した場合は?
相続には、相続を受けない意思表示である「相続放棄」という考え方がありますが、相続放棄した場合は法定相続人として数えることは出来るのでしょうか。
結論から言いますと、相続放棄しても法定相続人として数えられます。つまり、基礎控除の金額が上がります。
法定相続人は相続を承認するか放棄するかに関わりませんので注意してい下さい。
法定相続分の計算方法
法定相続分は、法定相続人がどのような構成になっているのかで変わってきます。
- 配偶者の法定相続分
- 第1順位の法定相続分
- 第2順位の法定相続分
- 第3順位の法定相続分
以上のパターンについて解説していきましょう。
配偶者の法定相続分
相続人の状況 | 配偶者の法定相続分 |
---|---|
配偶者のみ | 財産の全額 |
配偶者と第1順位の法定相続人 | 財産の1/2 |
配偶者と第2順位の法定相続人 | 財産の2/3 |
配偶者と第3順位の法定相続人 | 財産の3/4 |
第1順位の法定相続分
相続人の状況 | 第1順位の法定相続分 |
---|---|
配偶者と第1順位の法定相続人 | 財産の1/2 ※ただし第1順位が複数いる場合は1/2を均等に分配 |
第1順位の法定相続人のみ | 財産の全て ※ただし第1順位が複数いる場合は全額を均等に分配 |
第2順位の法定相続分
相続人の状況 | 第2順位の法定相続分 |
---|---|
配偶者と第2順位の法定相続人 | 財産の1/3 ※ただし第2順位が複数いる場合は1/3を均等に分配 |
第2順位の法定相続人のみ | 財産の全て ※ただし第2順位が複数いる場合は全額を均等に分配 |
第3順位の法定相続分
相続人の状況 | 第3順位の法定相続分 |
---|---|
配偶者と第3順位の法定相続人 | 財産の1/4 ※ただし第3順位が複数いる場合は1/2を均等に分配 |
第3順位の法定相続人のみ | 財産の全て ※ただし第3順位が複数いる場合は全額を均等に分配 |
相続税はいくらかかる?
相続税は
相続財産-基礎控除=課税価格
となり、課税価格に対して一定の税率と控除を計算し算出されます。
【相続税速算表】
法定相続分に応ずる取得価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の計算方法は
- 相続財産-基礎控除=課税遺産総額
- 課税遺産総額を法定相続分で按分
- 法定相続分を相続税速算表を元に計算し相続税を算出
- それぞれ算出した相続税を合算し。再度法定割合で按分
という順番になります。
例えば以下のような例だと、相続税はいくらかかるでしょうか。
- 相続財産1億円
- 配偶者と子供2人
課税遺産総額
基礎控除=3,000万円+600万円×3人=4,800万円
1億円-4,800万円=5,200万円(課税価格)
課税遺産総額を法定相続分で按分
配偶者の相続財産
5,200万円(課税価格)÷2=2,600万円
2,600万円×15%-50万円=340万円
子供の相続財産
5,200万円(課税価格)÷2=2,600万円
2,600万円÷2=1,300万円(1人分)
1,300万円×15%-50万円=145万円(2人分)
相続税算出
340万円(配偶者)+(145万円(子供)+145万円(子供))=630万円
630万円を再度按分
再度法定割合で按分
配偶者の相続税
630万円÷2=315万円
※配偶者の税額減税を利用することで、相続税が0円になります。
子供の相続税
630万円÷2÷2=157.5万円(1人分)
つまり、配偶者の相続税は0円。
子供は1人あたり2,500万円の相続財産を手に入れる代わりに、157.5万円の相続税を納付する義務が生じます。
まとめ
- 相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人
- 配偶者の他は、「子供」「親」「兄弟姉妹」の順番で法定相続人になる
- 相続放棄しても法定相続人として数えられる
相続の計算は、基礎控除と法定相続人の理解をしていれば簡単に計算出来ます。
しかし、実際相続を自分で手続きするとなると、価値の分かりにくい不動産や有価証券が絡むことも多く、困難な場合も多いです。
もし相続でお困りであれば、税金のプロである税理士に相談することをおすすめします。
相続手続きを代行してくれますし、何よりも税金納付を間違いなく行ってくれます。
相続は誰しも関係してくる税金ですので、正しい申告をするように心がけて下さいね。