「非課税で贈与する方法があるって本当?」
「相続時を考えて、あらかじめ贈与出来るものはしておきたい」
このような疑問や不安を抱えている人は多いです。
結論から言いますと、非課税で贈与する方法はいくつか存在します。
贈与税の仕組みを理解することで効率的に贈与出来ますので、知っておいて損はありません。
今回は、非課税で贈与する方法について紹介していきます。
【目次】
生前贈与で非課税になる9つの方法
皆さんは生前贈与がどのような制度かご存じですか。
生前贈与とは、生きているうちに子供や孫に資産を渡してしまう方法のことす。
簡単に言えば、相続するものを早い段階に渡しておくようなイメージです。
実は、生前贈与を行うことで、相続税の節税が期待できます。
【贈与税と相続税の税率の違い】
贈与税 | 相続税 | |
---|---|---|
基礎控除額 | 110万円 | 3,000万円+法定相続人×600万円 |
最低税率 | 10%(200万円以下) | 10%(1,000万円以下) |
最高税率 | 55%(3,000万円超) | 55%(6億円超) |
以上の表にあるように、一般的に相続税の方が贈与税よりも税率は低いです。
しかし、生前贈与でも制度を理解して対策することで贈与税を「非課税」に出来るのです。
生前贈与で贈与税が非課税になるのには9個の方法があります。それぞれ詳しく説明していきましょう。
暦年贈与
暦年贈与は1月1日~12月31日の間(これを暦年と言います)に110万円以下の贈与を行うことを指しています。
年間110万円以下でしたら、先ほど紹介した贈与税の基礎控除額範囲ですので、税金がかからなくなります。
110万円(贈与額)-110万円(基礎控除額)=0円
この制度を毎年利用することで10年間で最大1,100万円、20年2,200万円非課税で贈与が可能であり、長期的な資産移動には最適な方法と言えるでしょう。
なお、暦年贈与は受益者(贈与を受ける側)が110万円を超えなければ問題ないため、子供が3人いる場合などは、年間で330万円分の贈与が非課税で行えます。
住宅取得資金
子供や孫の住宅取得資金を親や祖父母が肩代わりする場合、一定の金額まで非課税となります。
非課税の金額は、売買契約や工事請負の金額によって変わるので注意が必要です。
【住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合】
住宅用家屋新築に係る契約締結日 | 省エネ住宅等 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
※上記以外に当てはまらない場合は非課税上限額が更に下がります。
子供や孫の教育費
親は子供を扶養する義務があるので、子供の教育費や生活費に関しては非課税で贈与が可能です。
これを「教育資金の贈与の特例」と言い、年間1,500万円までは非課税で贈与が出来ます。
なお、塾などの学校以外の資金に関しては500万円が上限となったり、30歳までに使い切れなかった分に関しては贈与税がかかったりする等、利用には一定のルールがあるので注意が必要です。
子供や孫の結婚資金
「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」を利用することで、子供や孫の結婚費や子供の子育て資金に渡した金額から最大1,000万円までは非課税となります。
ただし、結婚資金のみに使われる場合は最大で300万円までとなっているため注意して下さい。
生命保険
贈与とは意味合いが変わってきますが、生前に自分に生命保険をかけ、死亡保険金を相続人に指定することで、相続時に非課税枠を広げることが出来ます。
例えば、相続税がかかる死亡保険金の受取の際には
500万円×法定相続人の数
まで非課税で相続することが可能です。
例えば、相続人が5人いる場合は、2,500万円まで非課税となります、
生前に資産の一部を生命保険に移しておくのも効果的な贈与の手段と言えます。
おしどり贈与
おしどり贈与の正式名所は「贈与税の配偶者控除」と呼ばれており、配偶者に居住用の不動産などを贈与する場合は、暦年贈与の110万円にプラスして最大2,000万円まで控除が受けられます。
おしどり贈与の利用条件には
- 結婚期間が20年を超えている
- その後も贈与する住宅に住み続ける
以上の2点に合致する必要があります。
ジュニアNISA
ジュニアNISAも効率的な贈与が期待できます。
ジュニアNISAとは0歳~19歳の未成年者に対して、年間80万円までの資金を5年間非課税で運用できる制度です。
なお、ジュニアNISAは2023年で終了になることが決定しているので注意が必要です。
※資産を運用することが条件となるので商品によっては元本割れのリスクもあります。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、贈与される2,500万円までは非課税となりますが、相続した際には相続税の対象として課税される制度です。
暦年贈与と大きく違うのは非課税枠が大きいため、時間をかけずに一気に贈与することが可能となります。
相続まで待つことなく、今すぐに子供や孫に財産を使わせてあげたい場合などに有利な制度です。
家族信託
あまり聞きなれない言葉ですが、家族信託財産も効率的な贈与の方法です。
信託とは、生前に信頼できる人に財産をまとめて預けて、あらかじめ決められたルールに沿って財産を分けていく方法です。
家族信託で預けられた財産は相続財産の対象とならないため相続税は掛かりません。
まとめ
- 非課税で贈与する方法は9つある
- 子供の結婚資金や教育資金は一般的な範囲は全額非課税
- 暦年贈与や相続時課税制度など自分にあった制度を利用することが大切
贈与税も非課税になるケースがいくつか存在します。
親が子供に、祖父母が孫に資金を渡す場合は、非課税制度が利用できるかどうか一度調べておくのが良いでしょう。
贈与税で困ったら、お近くの税理士に一度相談してみることをおすすめします。
税理士は税務のプロですので、最も効率的な贈与を提案してくれます。