定期健康診断の位置づけ
会社は少なくとも年に1回定期健康診断を実施しなければなりません。
一方で従業員は原則として会社が実施する定期健康診断を受診しなければなりません。
これは労働安全衛生法に規定された双方の義務になります。
なぜ、このような義務が法律に定められているかと言えば、定期健康診断が、従業員の健康を確保するための最も基本的な取組みと位置付けられているからです。
また、健康診断の結果を従業員自身が把握して自己の健康管理に努めることはもちろんですが、会社も結果を把握して異常があった従業員が健康に働き続けることができるように各種の事後措置を講ずることが求められています。
労働安全衛生法に基づく事後措置
定期健康診断の結果は会社に通知されますので会社は各従業員の健康状態を知ることができます。
そこで会社は定期健康診断の結果を踏まえ、従業員が健康に働き続けられるよう適切な措置を講じる必要があります。
労働安全衛生法では会社に対し、定期健康診断の結果に異常の所見があった従業員に対し、医師等の意見を勘案して、就業場所の変更や労働時間の短縮など、必要に応じた措置を講じなければならないとしています。
さらに、努力義務ではありますが、定期健康診断の結果、要経過観察等の所見があった従業員に対して、医師や保健師による保健指導や健康相談を利用し、従業員の実情を考慮しながらその健康の保持増進に努めなければならないとしています。
会社には労働契約法上の安全配慮義務も課せられることから、労働者の健康に関する取り組みはとても重要になります。
特定保健指導とは
定期健康診断の結果を踏まえた事後措置については、会社に対しての義務だけでなく医療保険者(各種協会けんぽや健康保険組合など)が行う義務があります。
これは40歳から74歳までの被保険者及びその被扶養者の生活習慣病の予防と早期発見を目的としたもので特定保健指導と言います。
この特定保健指導は医療保険者の義務ではありますが、会社は従業員やその被扶養者が特定保健指導を受診しやすくするために、就業時間内の受診を認めることなどの協力をすることが望ましいとされています。