原材料費等価格転嫁は半数が上昇分の4割
日本商工会議所は「商工会議所LOBO(早期景気観測)」の4月調査結果を発表しました。
全国の会員企業2,472社を対象に、2024年4月に実施し、2,033社の回答を得ています。
付帯調査「コスト増加分の価格転嫁の動向」によると 原材料費やエネルギー費を含めたコスト全体の価格転嫁については50.9%の中小企業が上昇分の4割以上を転嫁できていますが、2023年10月の前回調査より4.4ポイント低下しています。
また、持続的な賃上げに向けて課題となっている労務費の増加分の転嫁は、全くできていない企業が25.6%に上っています。
価格協議の結果は
発注側企業との「価格協議の動向」については、「協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」66.0%、「コスト上昇分の反映の協議を申し込まれた」7.7%で合計すると「協議できている」企業は73.7%と、2023年10月調査から0.7ポイント減少しています。
しかし7割超と高水準で浸透しているといえます。
一方コスト増加分の「価格転嫁の動向」については、50.9%の企業で「4割以上の価格転嫁」が実施できていますが、昨年10月より4.4ポイント減少しています。
労務費増加分では価格転嫁不十分
2023年11月に公正取引委員会が中小企業の賃上げ分の価格転嫁を促す指針を公表しましたが、転嫁が十分に行われていない状況です。
コスト増加分のうち労務費増加分の「価格転嫁の動向」については「4割超えの価格転嫁」ができた企業は33.9%で昨年10月調査から0.8ポイント減少とほぼ横ばいです。
また、全く価格転嫁できていない企業は25.6%あり、全体の4分の1が価格転嫁できず、進捗は足踏み状態であることがわかります。
賃上げ分まで価格転嫁できないと人材確保の面で困難になる懸念があります。