仮想通貨は「モノ」
仮想通貨の課税関係については,参議院議員による質問主意書に対する2014年3月7日の政府答弁書で、初の公式見解が示されました。
その文書では、仮想通貨は通貨でなく「モノ」と認定されました。
「モノ」なので、銀行券や硬貨、また消費税法上非課税取引となる商品券やプリペイドカードなどの物品切手等支払手段でもないことになり、消費税の課税対象になることとされました。
「モノ」から「カネ」に
2017年4月施行の資金決済法で、仮想通貨も紙幣等と同じ支払手段として法的に位置付けられることになり、それに対応して2017年税制改正大綱で仮装通貨の消費税非課税化が示され、政令において通貨と同じ扱いの非課税と規定され、2017年7月施行となりました。
ただしこの時点では、法人税法上、期末時点での時価評価はしないものとされていました。
暗号資産化と時価法
2018年3月、企業会計基準委員会が「資金決済法における仮想通貨の会計処理等」を公表し、「活発な市場」が存在する仮想通貨の貸借対照表価額は、市場価格に基づく価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する、としました。
これを承けて、2019年の税制改正で、法人税における活発な市場が存在する仮想通貨の評価方法について、時価法を導入する措置が講ぜられました。
なお同時期に、仮想通貨の呼称が暗号資産に改められました。
時価法適用制限への逆流
2022年11月、企業会計基準委員会が「暗号資産発行者の自己割当暗号資産の会計上の取扱い」を公表し、対価受領のない自己割当暗号資産は第三者との取引が生じるまでは会計上時価評価しない、としました。
これを承けて、2023年の税制改正で、期末時価評価の対象となる暗号資産の範囲から、自己が発行した暗号資産が除外されました。
2024年の税制改正では、譲渡についての制限のある暗号資産については期末時価評価の強制から除くこととされます。
前年からの改正は、期末の時価評価での担税力の伴わない含み益課税を嫌って、スタートアップソフトウェア開発企業が日本から流出する傾向にある、ことへの対処と言われています。