大正時代からある控除
生命保険料控除は、大正12年(1923年)に衆議院議員の議員立法により創設されました。
他の保険料控除と比べても、昭和27年の社会保険料控除(発足当時は失業保険)、昭和39年の損害保険料控除(火災保険)と、一足早く控除制度として名乗りを上げています。
ちなみに地震保険料控除は、平成18年の税制改正によりそれまでの「損害保険料控除」に代わって導入されたもので、保険料控除としては後発の制度となります。
発足当初は「控除限度額は年額で200円を上限に所得控除とする」となっていました。
大正末期の大卒サラリーマンの初任給(月給)が50~60円ということなので、現代のスケールに合わせると、控除の上限額は現在の生命保険料控除の制度より大きいものだったようです。
インフレの影響で一時は消失
昭和15年には年額200円を限度としてその6%である最高12円の税額控除、昭和17年には年額240円を限度としてその10%である最高24円の税額控除と、順調に貨幣価値が上がるのと比例して税額控除の額を伸ばしていきましたが、昭和20年頃は戦後の社会的に不安定な時期で、インフレにより貨幣価値が急変した時代です。
この時代背景もあってか、昭和22年の税制改正では最高24円の税額控除という制度内容はあまりにも「少額」であるため、生命保険料控除の制度自体が廃止されることになりました。
生命保険料控除がその後復活したのは昭和26年。最高2,000円を総所得金額から控除することとされました。
その後も世相により変化を続けた
戦後の高度経済成長期、安定成長期、バブル景気とその崩壊、失われた20年、生命保険料控除も世相に合わせて、対象になる保険の種類や、控除額の計算方法等が変化してきました。
現行の新旧保険料とその控除額の計算は平成22年度の税制改正により制定されています。
今後も生命保険料控除は、時代に応じて求められる保険の役割によって、変化し続けるのではないでしょうか。