HRテクノロジーとは
ChatGPTを中心とした所謂「生成AI」の人事労務業務への活用が盛んになりつつあります。
「生成AI」自体はここでいうHRテクノロジーと=(イコール)の関係ではありませんが、最新テクノロジーの人事労務領域での活用という共通点があることから、HRテクノロジー活用における労働法の問題点を取り上げたいと思います。
改めてHRテクノロジーとは、HR(Human Resource:人事)とテクノロジーを合わせた造語で、人的資源の調査・分析・管理等を高度化し、ビジネスパフォーマンスを高めるためのテクノロジーの総称です。
つまり、これまでの「勘と経験」による人事から「データ活用」による人事への変換ツールといえます。
HRテクノロジーの労働法の問題
例えば、ある社員の不祥事についてAIが「懲戒解雇」と判定したらその解雇は有効になるのでしょうか。
もちろんそんなはずはありません。
AIの判定は補強材料にはなり得ますが、その判断(処分の決定)は人間が責任をもって行うことに変わりありません。
当たり前のことのようですが、HRにかかわらずテクノロジーを正しく使うためには、常にこの意識が必要になります。
採用領域におけるHRテクノロジーの活用
現状もっともHRテクノロジーの活用が進んでいるのは「採用」での領域です。
具体的には・既存社員の人材データを活用した「活動予測モデル」による採用判断・AIによるエントリーシート選別・人間関係や社風とのマッチングをAIで行うなどが既に行われています。
今後は、さらにAIによる採用判断の高度化などが加速すると予測されています。
一方で、AIによる採用判断に当たり差別的学習が行われないように、AIにどのような元データを読み込ませるかのデータ検証には、細心の注意を払う必要が出てきます。
さらに、採用領域におけるHRテクノロジーの活用が行われ始めたことから、同時に法的問題も顕在化しつつあります。
上にも挙げた「採用差別」に関する問題、また、採用の可否を判断する基礎となる元データの入手や管理についての問題などが挙げられます。
企業が採用領域でHRテクノロジーの活用をする場合には、このような周辺領域への配慮についても、十分な検討が必要になるでしょう。