税務知識記事一覧

「採用内定」とは

「採用内定」とは

「採用内定」の法律的な意味

新卒採用者の場合、労働契約の成立過程において、実際の入社の前に「採用内定」という段階を踏むことが一般的です。

この「採用内定」には法律上どのような性質があるのでしょうか。

これをわかりやすくするため「採用内定により労働契約が成立したと言えるか」という問題提起をして考えてみます。

採用内定と労働契約の成立

労働契約の成立とは、労働契約法6条により、労働者が使用者によって使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立します(使用者は会社と置き換えてください)。

それでは会社が新規採用者に採用内定を出した時点で、この労働契約は成立するのでしょうか。

最高裁の裁判例では、採用内定制度といってもその実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難であるため、「具体的事案ごとに採用内定の法的性質を検討する必要がある。」とした上で、本事案(大日本印刷事件)では、採用内定について次のように判断しています。

「当該事案では、採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかったとして(中略)労働者と使用者との間に、労働者の就労の始期を大学卒業後とし、それまでの間、採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立した」としました。

要約すると「入社するまでの間に、採用取消事由が生じた場合や、大学を卒業できなかった場合には、労働契約を解除することができる旨の合意を含んだ労働契約が成立したことになる」ということです。

採用内定取消し

この裁判例では、条件付きではありますが、採用内定を労働契約の成立としています。

そうすると採用内定取消しの法的性質も解雇となりますが、これも当然に認められるわけではなく、最高裁は「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることができないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが客観的に合理的であり、社会通念上も相当であると認められる場合に限られる」としています。

インボイス制度関連記事

  1. 所得税と消費税の負担感
  2. コンビニの適格請求書登録番号は店舗ごとに違う可能性大
  3. 消費税インボイス制度いよいよ始動
  4. 免税会社の適格請求発行事業者登録のタイミング
  5. 令和4年度・税制改正大綱『消費課税編』
注目記事 最新記事
  1. 産後パパ育休と育児休業分割取得
  2. 2割特例の適用に「不適用届出書」提出が必要な場合がある
  3. 社会保険の「年収130万円の壁」注意点や例外
  4. 決算をまたぐ工事がある!どうやって決算すればいい?
  5. 制度開始目前のインボイス登録
  1. 現物配当(現物分配)の税務
  2. 「休職制度」の必要性
  3. 中小企業の6割は防衛的賃上げ
  4. 中間申告の義務規定と中間申告無申告容認規定
  5. 相続登記は3年以内に!

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP