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「採用」についての法的視点

「採用」についての法的視点

採用の自由とその制約

一般に民法における契約においては「契約自由の原則」があり、そこでは契約内容に関する自由、契約を締結するかしないかの選択の自由、相手方選択の自由などがあります。

民法の特別法である労働契約法も、契約内容の自由については、労働基準法等により修正されるものの、原則として「契約自由の原則」は踏襲され、そこから「採用の自由」という考え方が導かれています。

原則として企業は、誰を採用するか、誰を採用しないかを自由に決めることができるとされています。

ここで問題になるのが、最終的な採用の可否を決める過程での情報収集や調査、特に思想や信条などのプライバシーの調査についても自由に認めてよいのか、制限を設ける必要はないかということです。

また、日本国憲法27条1項の国民の勤労権や同14条の法の下の平等は企業の採用の自由に制約を与える根拠となりえます。

この後少し詳しく見てみます。

情報収集・調査の自由

これについては最高裁の判例(三菱樹脂事件)があります。

最高裁は、憲法22条や29条等を根拠として、「企業の財産権や営業の自由を保障するため、労働者の採用の可否を決めるにあたり、その労働者の思想、信条を調査し、またそのために労働者から関連する事項についての申告を求めることを、違法行為とすべきとする理由はない」として、「採用の自由」及び「調査の自由」を広く認めています。

その後の最高裁判決でもこの判断は維持されています。

ただし、これら最高裁の判断は、長期間の雇用保障を目的とするいわゆる正社員、かつ、その多くが将来の幹部社員としての採用を前提としていたことには注意が必要です。

逆に言えばこれら以外の正社員や非正規社員の採用の場合には、通常の職務遂行能力に直接関連する調査の範囲でしか認められないと考えられます。

法律による制限

一定の場合には法律によって強制的に採用の自由が制限されます。

主なものには男女雇用機会均等法による「男女差別の禁止」、障害者雇用促進法による「障害者差別の禁止」、雇用対策法による「年齢差別の禁止」があります。

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