配当還元価額計算での異常事態
資本金1,000万円、200株発行、1株50,000円の会社で、配当実績がない場合、配当還元価額は、1株当り25,000円です。
ところがこの会社が、MBOでの買収の為に用意された会社がオーナーから株式のすべてを買取り、完全親会社になり、その後、完全親会社と完全子会社が逆さ合併した存続会社だったとして、オーナーからの買取株が自己株式として10.1億円で帳簿価額に計上されていたとすると、資本金等の額は△10億円(=1,000万円-10.1億円)となり、発行済み株式数は△20,000,000株(=△10億円÷50円)、一株当り年配当金額は△2.5円(=年平均配当金額÷△20,000,000株)と計算され、△2.5円÷10%×(△10億円÷200株)÷50円=250万円と計算され、配当還元価額は100倍の250万円になります。
類似業種比準価額計算での異常事態
マイナス資本金等の会社の類似業種比準価額での株式評価についても、1株を50円とした場合の発行済み株式数△20,000,000株(=△10億円÷50円)で配当金額、利益金額、資産価額を除する計算から始まりますが、各値はマイナスとなります。
しかし、ここでも、実際の1株当たりの発行価額に換算し直すときに、マイナス資本金等が再び登場して、マイナス値にマイナス値を乗じてプラス値が復元することになります。
但し、ここでは、マイナス株式数での除算・乗算により100倍値にはなりません。でも、端数処理での変動があり、比準要素0や1の会社になってしまうこともあり得ます。
プラスになればよいという不思議
このように計算するのだとTAINSにある当局情報は言っています。異常事態に気付いてないかのようです。
特に異常度の激しいのは配当還元価額です。配当還元価額が他の評価額よりも激しく高くなってしまいます。
そもそもマイナス資本金等というのは自己株式の取得価額に内在する資本と利益を分離させていないことによる仮の数値です。
仮の数値を使って計算しても、仮の値にしかなりません。
資本からマイナスされている利益を除いて、本来のプラスの資本金等の額に戻すことをしない限り、この異常事態から脱け出せません。