子供がいない夫婦が将来起きる相続を考えるとき、誰に自分の財産を託したいか、遺言書で自らの意思をはっきり残しておくことが大切です。
相続人の範囲
遺言書がなく、遺産分割協議もできない場合、財産は、相続人に法定相続分で引き継がれます。
被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、被相続人の外に血族がいるときは、被相続人の子供(第1順位)、被相続人の父母など直系尊属(第2順位)、被相続人の兄弟姉妹(第3順位)の順で、それぞれが配偶者とともに相続人となります。
甥、姪への予期せぬ相続
被相続人に子がなく、両親も他界、兄弟姉妹も既に死亡しているときは、兄弟姉妹の子(被相続人にとっては、自身の甥、姪)が代襲相続人として相続することになります。
兄弟姉妹との間で、生前、仲たがいしていた場合、甥、姪にとって思いもかけない財産が舞い降り、お互い想定していなかった財産移転が起きることもあります。
遺言書で財産の引継ぎ先を指定する
このような意図しない相続が行われないようにするためには、遺言書を作成しておくことで、財産を引き継がせたい人に渡すことができます。
兄弟姉妹がいる場合でも、遺言書があれば配偶者に100%財産を渡すことができます。
遺留分は兄弟姉妹にはありません。
ただし、夫婦のどちらが先に亡くなるかは分からないため、夫婦それぞれで自分の財産を相手に渡す遺言書を作成しておく必要があります。
自分の人生の総括を
配偶者の外に財産を移転させたい場合には、公益団体等に寄附して社会貢献する遺贈寄附という方法もあります。
遺言書を利用して自分の人生を総括し、自身の財産を承継してほしい人や団体に財産を移転することは、意義があるかもしれません。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つの方法があります。
前者は公証人役場で公証人が立ち会って遺言書を作成してもらう方法。後者は自書で遺言書を作成する方法。
令和2年7月から自筆証書遺言書を法務局に保管してもらうことも可能になりました。
瑕疵のない遺言書を確実に作成したい場合は公正証書遺言とし、自身の意思を伝えることが主な目的であれば、自筆証書遺言で良いかもしれません。
自身に合った方法を選択してはいかがでしょうか。