政府が発表した令和5年の年間訪日外客数は約2,506万人。
インバウンドの回復により、観光地は外国人旅行者で賑わい、飲食店や宿泊施設にも活気が戻ってきています。
旅行者の買い物には出国時、持ちだすことを条件に消費税が免税となりますが、制度の不正利用への対応が課題になっています。
免税店制度とは
外国人旅行者が買い物した場合、消費税が免税となるのは、家電製品や衣料品、バッグなどの一般物品は1日当たり5千円以上、化粧品、医薬品、酒などの消耗品は、1日当たり5千円以上、50万円以下が対象になります。
免税店は国の許可を受けた事業者が営むことができます。
外国人旅行者は、購入の際、パスポート等を提示して短期滞在の在留資格などの確認を受けます。
購入記録情報はWEBシステムを介して国税庁に送信され、出国時に税関で確認を受けます。
事業用や販売用としての購入が見込まれないなど要件を満たしていれば、消費税を負担せずに商品を購入できます。
海外では購入時に税金を支払った上で、出国時に税関で返金してもらう方式ですので、日本の免税店制度は海外より利便性が高いと言えます。
免税店制度の不正利用
その一方、購入した商品が国内で転売されてしまうケースが増加しています。
出国時、手許に商品がない場合、消費税を課税されるルールとなっていますが、実態は徴収できないまま、出国されてしまうことが多いようです。
国税庁は不正利用防止のため、免税要件を満たさずに販売した事業者には課税処分をしています。
そのほか、国税庁のサイトでは、事業者が化粧品を外国人観光客に販売したように装い、架空の課税仕入れと架空の免税取引を計上した事例が紹介されています。
税制改正で購入時に消費税徴収を検討
令和6年度税制改正大綱では、免税店制度の不正利用を受け、商品販売時に外国人旅行者から消費税相当額を預かり、出国時、税関に持ち出しが確認されたときに返金する仕組みを検討し、令和7年度税制改正にて結論を得るとしています。
販売現場では、外国人旅行者の買い物が免税となる要件を満たしているか、判断に難しい対応が求められており、手続きの簡素化と外国人旅行者の利便性を損なわずにインバウンド需要にこたえる制度見直しが求められています。