税務知識記事一覧

労働契約と信義則

労働契約と信義則

信義則とは?

「信義則」とは民法に規定されている考え方で、人が社会生活をする一定の状況の下で、相手方の持つであろう正当な期待に沿うように、一方の行為者が行動することを意味し、要約すれば「相手の正当な期待を裏切るような行為をしてはならない」ということです。

労働契約のように、一定期間継続することが予定されている契約関係では、一般的な債権債務の関係よりも、一層当事者間の信頼関係(信義則)が強調されます。

労働契約と信義則の関係

労働契約法では「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」(同法第3条4項)と規定しています。

前述したように、「信義則」は民法にも規定があるので、この原則自体は労働契約法独自のものではありません。

とはいえ、労働契約が、人間の労働の提供を内容とする継続的な関係であるとともに、契約内容を詳細に定めることの少ない実情においては、労働契約関係において、「信義則」は重要な役割を果たしています。

「信義則」が適用される場面

労働契約関係において、「信義則」が適用(援用)される場面は、一つは使用者(会社)を規制する場面で、代表例は安全配慮義務の根拠となることです。

安全配慮義務の他にも、これまで裁判例により信義則が援用された例として、採用の際における労働条件の説明義務があります(日新火災海上保険事件・東京高裁平成12年4月19日)。

採用時の会社の説明を信じて入社した労働者に対し、実際には入社後、説明とは異なる待遇をした会社に対して、不法行為による損害賠償責任を認めました。

これ以外にも、会社が整理解雇を実施するにあたり、労働者側と協議を行い、納得を得る努力義務について、信義則を根拠づけに用いられたことがあります(東洋酸素事件・東京高裁昭和54年10月29日)。

なお、「信義則」は会社だけでなく、労働者をも規制します

労働者にも「会社に対して労働を提供する」という義務がありますから当然です。

労働者に対して信義則が問題となる場面には、「企業秘密を漏洩しない(秘密保持義務)」や「退職後一定期間同種の事業を行わない(競業避止義務)」などが挙げられます。

インボイス制度関連記事

  1. 小規模事業者持続化補助金の枠の種類が増加しました
  2. キャンセル料と消費税
  3. インボイスがもたらす転嫁妨害や黙認
  4. インボイス制度 適格請求書等のいらない課税取引
  5. 免税事業者からの課税仕入れに係る控除対象外消費税額
注目記事 最新記事
  1. 相続税法第58条の改正
  2. 決算書に間違いがあった!修正することは出来るの?
  3. 社会保険の「年収130万円の壁」注意点や例外
  4. 交際費と社内飲食費
  5. 生命保険料控除とは何か?適用要件や控除額について徹底解説!
  1. 定額減税の対象となる人
  2. 令和6年度 住宅ローン控除等の改正
  3. 住宅ローン控除の要件
  4. 「復職」について考える
  5. ミッション・ビジョン・バリューとは

税務知識ブログカテゴリー

PAGE TOP