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経済産業省の中小M&Aガイドラインについて

経済産業省の中小M&Aガイドラインについて

「M&Aを行う場合、躊躇するポイントが知りたい」
「支援機関が適切な対応をしてくれているか不安」

このような疑問や不安を抱えている人は少なくありません。

結論からいますと、中小企業がM&Aを行う際には、経済産業省が定めている中小M&Aガイドラインを参考にしましょう。

中小M&Aガイドラインでは、知識や経験のない中小企業がM&Aを行う際、懸念となる事項や躊躇する要因について3つ挙げ、その解決方法を行動指針として示しています。

皆さんがM&Aを行う際に様々な不安が出てくると思いますが、その不安に対してどのような解決アプローチができるのか、ガイドラインに沿って対応することが重要です。

そのためにも事前にガイドラインについて勉強していきましょう!

そこで今回は、経済産業省が制定した「中小M&Aガイドライン」について徹底的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

経済産業省の中小M&Aガイドラインとは

経済産業省は、2020年3月に「中小M&Aガイドライン」を策定しました。策定した種子や目的については、以下のように述べられています。

後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法の一つですが、中小企業経営者の中には、M&Aに関する知見を有しておらず、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する者も存在します。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が、適切に支援を実施することが重要です。

経済産業省としては、中小企業の後継者不足問題が増加傾向にある中、M&Aという手段が後継者不足を解決するに有効な手段であるのにも関わらず、手段を活用出来るだけの中小企業が無いことがまず取り組むべき課題であると考えています。

その支援として、税理士やM&Aコンサルタント、金融機関などのM&A支援機関が適切にM&A支援を実施することが必要であるとしています。

こうした現状を踏まえ、経済産業省では、昨年(※)12月20日に策定・公表した「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、平成27年策定の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、「中小M&Aガイドライン」を策定しました。
(※)2019年のこと

その上で、適正なM&A支援が出来るように、経済産業省として「中小M&Aガイドライン」を定めることで、M&A支援機関に対して行動指針を示すこととなりました。

中小M&Aガイドラインの概要

「中小M&Aガイドライン」では、中小企業がM&Aを履行する際に、躊躇する主な問題点を3つ取り上げ、それらに対して適正なM&Aを行うための行動指針が示されています。

中小企業がM&Aを躊躇する要因は

  1. M&Aに関する知見が無く進め方が分からない
  2. M&A業務の手数料の目安が見極めにくい
  3. M&A支援に対する不信感

が挙げられています。

これらの要因に対してそれぞれ解決策が提示されていますので、それぞれ解説していきましょう。

尚、本ガイドラインについては、全国にある全48か所の事業引継ぎ支援センター及び、事業引継ぎ支援センターの登録機関への遵守が義務付けられています。

また、その他の中小企業支援に関わる幅広い関係機関にも遵守を求めることとされているので、M&Aコンサルタント等に支援を要請する際に以下のような問題点があった場合には、ガイドラインの遵守を要求することも大切です。

M&Aに関する知見が無く進め方が分からない

M&Aに関する知見が無く進め方が分からない問題については

  • 約20の中小M&A事例を提示し、M&Aを中小企業にとってより身近なものにする
  • 中小M&Aのプロセスごとに確認すべき事項や、適切な契約書のひな型を作成する

以上の2点により解決を図るように指針が示されています。

M&A業務の手数料の目安が見極めにくい

M&A業務の手数料の目安が見極めにくい問題については

  • 仲介手数料の考え方や、具体的事例の提示により、手数料を客観的判断する基準を示す
  • 支援内容に関するセカンドオピニオンを推奨

以上の2点により解決を図るように指針が示されています。

M&A支援に対する不信感

M&A支援に対する不信感については

  • 支援機関の基本姿勢として、事業者の利益の最大かと支援機関同士の連携の重要性を提示
  • M&A専門業者に対しては、適正な業務遂行のために以下の3点を明確にする
    1. 売手と買手双方の1社による仲介は「利益相反」となり得る胸を明記し、不利益情報(両者から手数料を徴収している等)の開示の徹底等、そのリスクを最小化する措置を講じる
    2. 他のM&A支援機関へのセカンドオピニオンを許容する契約をする
    3. 契約期間終了後も手数料を取得する契約(テール条項)を限定的な運用とする、といった行動指針を策定する
  • 金融機関、士業等専門家、商工団体、プラットフォーマーに対し、求められる具体的な支援内容や留意点を提示する

以上の3点により解決を図るように指針が示されています。

これらの中小M&Aガイドラインは、支援機関も中小企業もお互いがしっかり理解しあうことが重要です。

スムーズで懸念事項無くM&Aを成功させるために役立ちますので、必ず確認しておくようにしましょう。

M&A相談は税理士など専門家にすることをおすすめします。

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